前哨戦のレディスプレリュードJpnⅡを3馬身差で快勝。ダートに転じてから2戦2勝のマルシュロレーヌが注目を集めた今年のJBCレディスクラシックJpnⅠ。その単勝オッズは最終的に1.3倍と集中した。前走時はマルシュロレーヌが2.3倍でマドラスチェックは4.5倍だったが、今回は8.6倍と大きく離れてしまった。
8.2倍の支持でその間に入ったのが、7月15日以来の実戦となるファッショニスタ。続いて11.4倍でレーヌブランシュ、17.3倍でプリンシアコメータとJRA馬が続いた。
パドックでは出走15頭がすべてメンコを着用。マルシュロレーヌも落ち着いた歩きを見せていた。前向きさが感じられる雰囲気があったのはファッショニスタ。マドラスチェックは騎乗合図がかかるとすぐに、本馬場へと向かっていった。
スタート地点は大井競馬場でもっとも新しいスタンドであるG-FRONTの前。例年ならたくさんの観客がゲート入りを見守ることになるのだが、今回は大井競馬場への入場が事前申し込みによる抽選制。当選して入場したのは777名にとどまった。
それでもゲートの横にはそれなりに多くのファンが集まった。ゲート入りに時間を要したのはサルサディオーネだったが、スタートしてまっさきに飛び出したのもサルサディオーネだった。
その直後にファッショニスタがつけて、14番ゲートから発走したローザノワールが追走。マドラスチェックは2番枠からそのまま進んで4番手だったが、最初のコーナーで最短距離を通ったことで3番手に上がった。
向正面でも馬順はそれほど変わらなかったが、3コーナーが近づくにつれて、先行した馬たちがひとかたまりになってきた。逃げるサルサディオーネを斜め前に見る形でファッショニスタが進み、マドラスチェックは経済コースを通って3番手をキープ。そして道中は中団にいたマルシュロレーヌが上昇してきた。
その雰囲気ならばマルシュロレーヌが届くように思えたが、直線に入ってからの加速はいまひとつ。直線に入ったところで先頭に立ったのはファッショニスタとマドラスチェックで、残り300メートルあたりからゴールまでの間には、どちらも先頭に立つ瞬間があった。最後にその勝負を制したのはファッショニスタ。アタマ差での先着だった。
マルシュロレーヌはその争いに加われず、2着マドラスチェックから3馬身差の3着。「あとは前を捕まえるだけだったのですが……」と、川田将雅騎手。このあたりは前哨戦と本番を連勝する難しさが出たのかもしれない。
地方馬での最先着は4着に入った浦和のダノンレジーナ。「手応えも位置取りもよかったのですが、この距離は多少長いかな」と、本橋孝太騎手。それでもA2格付の馬がここまで戦えるのなら、今後の活躍が楽しみになる。
勝ったファッショニスタの北村友一騎手が表彰台に立っている間、安田翔伍調教師がその様子をにこやかに見ていた。「ファッショニスタには(父の安田隆行厩舎で)調教で乗ったことがあります。今回は装鞍を手伝ったくらいですが(笑)」とのことで、調教師代理で臨場した兄の安田景一朗調教助手とアイコンタクト。この結果は安田ファミリーの力で勝ち取ったといえるのかもしれない。
Comment
北村友一 騎手
調教のときから状態がよさそうと感じていましたし、レースでは馬の気分を害さないようにしようと考えていました。ブリンカーの効果もあって、集中して走ってくれましたね。3コーナーあたりの手応えはいまひとつでしたが、内からマドラスチェックが上がってきたことで、再び頑張りを見せてくれました。
安田景一朗 調教助手
パドックでも返し馬でも落ち着いていましたし、自分のペースで、いいリズムで進めていけたと思います。ただ、勝負どころでの手応えがあまりよくないように見えたので、大丈夫かと心配しましたね。でも競り合いになると強い面を見せてくれる、その長所を発揮してくれたのではないかと思います。