グランダム・ジャパン(GDJ)古馬シーズンもここを含めてあと2戦。しかしながらここまで対象レースで2勝した馬がおらず、表彰対象の地方馬ではトップのクオリティスタート(北海道)でも21ポイントという混戦。そこに、読売レディス杯で1、2着だったアークヴィグラス(北海道)、サラーブ(大井)、佐賀ヴィーナスカップを制したジェッシージェニー(大井)、兵庫サマークイーン賞(園田)を制したエイシンセラードらが出走。人気は読売レディス杯の1、2着馬に集中。2頭を巡っての争いとなった。
名古屋競馬場では9月1日からファンの入場を再開。コロナ禍以降、名古屋では初めてファンの見守る中で行われる重賞だ。
逃げたのは最内枠のユウチャージだったが、3コーナー過ぎ、ほとんど併走するように2番手を追走していたアークヴィグラスが一気に先頭に立つ場面がビジョンに映し出されると、スタンドのファンからは歓声が上がった。次の瞬間、5番手につけていたサラーブが一気にまくってアークヴィグラスをとらえにかかると、歓声はひときわ大きくなった。
勢いのついたサラーブが一旦は前に出る場面もあったが、内のアークヴィグラスが4コーナーのコーナーワークで盛り返し、馬体を併せたまま直線へ。3番手以下との差を広げ、人気2頭の一騎打ちとなった。
しかし残り100メートル手前、歓声が悲鳴に変わった。アークヴィグラスの前脚がガクッと崩れ、吉原寛人騎手は地面に叩きつけられるように落馬。
一方、ライバルが突然消えたサラーブは勢いそのまま、後続に大きな差をつけたままゴール。中団よりうしろからの追走だった7番人気ウラガーノが8馬身差で2着、同じく9番人気エールドールが2馬身半差で3着に入った。
アークヴィグラスは残念ながら右前脚粉砕骨折の診断。落馬したまま動けなかった吉原騎手だが、意識はあり、話をすることはできたようだった。
アークヴィグラスとともに先行集団を形成した3頭はいずれも差のある下位に沈んだという結果から、残念ながらゴールにはたどり着けなかったものの、アークヴィグラスのスピードはここでも圧倒的だったことがわかる。
勝ったサラーブは、これが重賞初制覇。昨年8月に中央2勝クラスを勝ったあと大井に移籍。重賞を中心に使われていたが、ここまで勝ち星は大井の特別戦での1勝にとどまったいた。前走読売レディス杯まで5戦連続で鞍上は森泰斗騎手だったが、8月下旬に船橋所属騎手から新型コロナ陽性者が出ていた(森騎手は陰性)ことから今回は遠征騎乗を控えた。替ってサラーブに初騎乗となった赤岡修次騎手は、「相手(アークヴィグラス)がまだ楽な態勢のうちに早めにまくっていったほうがいいんじゃないかと先生と話していた」という作戦が見事にはまっての快勝となった。
サラーブはGDJ古馬シーズンでは初勝利だが、スパーキングレディーカップJpnⅢ・6着、読売レディス杯2着と合わせポイントでトップに立った。最終戦のレディスプレリュードJpnⅡには、古馬シーズン女王の座と、ダートグレード初制覇を賭けて挑むことになる。
Comment
赤岡修次 騎手
うまく外目の5番手につけて、アークヴィグラスを見ながら理想的に進められました。おとなしくて乗りやすいですし、差し馬で距離はもっと長いほうが向くと思いますが、小回りの1400メートルで、速い馬がいる中で結果を出したので、これでまた一段と馬が走る気になってくると思います。
藤田輝信 調教師
輸送も問題なく、状態は前走から変わらずだったんですけど、どうやったらアークヴィグラスを負かせるかということで、レース前に赤岡騎手と相談して、そのプランのひとつがうまくはまったという感じでした。馬の状態次第ですが、レディスプレリュードには出走させて、結果は出したいですね。