2日前からファンの入場が再開された金沢競馬場。ハッピーポイントカード会員に限っての入場となっているが、無料で作成することができ、白山大賞典JpnⅢが行われたこの日は14時時点で入場者1241人、場内滞留者約1050人だった。入場再開に合わせて7カ月ぶりに店を開けた場内の飲食店では「競馬場への入場制限があるから、お店に来るお客さんも少ないかと思ったら、以前と変わらないくらい来店されています」と感謝の気持ちを話した。
翌日には日本テレビ盃JpnⅡも控える中、好メンバーが揃った。単勝2.5倍で1番人気に支持されたマスターフェンサー(JRA)は昨年、ケンタッキーダービーGⅠに遠征し6着。帰国後は左回りを意識的に使われ、前走・マーキュリーカップJpnⅢで重賞初制覇を果たした。
差のない2番人気は2.8倍でロードレガリス(JRA)。JRA未勝利から大井で3勝を挙げたのち、JRAに再転入すると4連勝を果たした馬だ。重賞初挑戦となった前走の平安ステークスGⅢこそ10着に敗れたが、立て直しての巻き返しに期待が寄せられた。
以下、2走続けてマスターフェンサーに勝ったエルデュクラージュ(JRA)3.5倍、今年の名古屋大賞典JpnⅢを制したロードゴラッソ8.4倍と続き、地方馬ではイヌワシ賞で復活Vを遂げたリンノレジェンド(北海道)が最も支持を集め33.8倍だった。
JRAの各陣営が特に意識したのは内ラチ沿いが深い金沢特有の馬場。ロードゴラッソの藤岡健一調教師は外ラチ沿いでレースを見ながら馬場を観察し、ロードレガリスの野中賢二調教師も地元のジョッキーに傾向を聞くなどリサーチしたようだった。
好ダッシュから逃げたのはリンノレジェンド。その内にエルデュクラージュが続き、4番手にマスターフェンサー、その後ろにロードレガリスという隊列でレースは進んだ。1周目のスタンド前にさしかかると、リンノレジェンドは2番手以下を4~5馬身ほど離したが、向正面でロードレガリスが先頭に並びかけ、4コーナーではさらに後ろからマスターフェンサーが来ると、直線はJRA馬2頭の一騎打ち。ゴールまで数完歩というところでマスターフェンサーがクビだけ前に出て重賞連勝を決めた。
2着ロードレガリスの武豊騎手は「気の悪い面を出さず、いいレースができたのですが……」と接戦を振り返った。2馬身離れての3着は中団から差してきたロードゴラッソ、4着ヒストリーメイカー(JRA)で、地方馬最先着は5着リンノレジェンドだった。「戦前から逃げられたら行こうと思っていました。JRA馬もいる中で、ハイペースなくらいで行けました」と吉原寛人騎手。4コーナーで一瞬、挟まれるような格好にはなったが、「夏になって動きが良くなってきました。もう1年くらいしたらもっとしっかりしてくるんじゃないかなと思います」とこの先に希望を持った。一方、6着エルデュクラージュのクリストフ・ルメール騎手は「休み明けでしたし、ストライドが大きな馬なので、広いコースの方がいいかもしれません」と話した。
新型コロナウイルス以降、各地の地方競馬は売上が好調で、入場が再開されたこの日の白山大賞典JpnⅢも昨年の売得金を上回る5億273万4500円でレコードを更新。来場したファンも久しぶりの生観戦とあって、パドックではスマートフォンで写真を撮る人も多く、盛り上がった一日だった。
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川田将雅 騎手
早めに動いてきた馬もいましたけど、やりすごしながら自分のリズムで走り、あとは抜け出すのを早くしないようにと考えていました。着差はわずかになりましたけど、とてもいい内容で勝ちきれました。ポテンシャルの高い馬なので、1戦ごとに経験を積みながら歩んでいけたらと思います。
角田晃一 調教師
ドバイのカラ輸送から帰ってきて状態があまり良くなかったのですが、いま一番いいくらいに状態が上がってきていました。パドックでも、状態がいい時に見せるうるさい仕草がありました。騎手が癖を掴んで上手く乗ってくれましたし、右回りで勝って幅が広がります。今後はできればジーワンにも行きたいです。