伝統の長距離重賞にしてJBCクラシックJpnⅠ指定競走の一戦に、名うてのステイヤーが集結。連覇を狙うストライクイーグル、トライアルを圧勝したホーリーブレイズ、金盃の覇者サウンドトゥルーなど、実力と距離適性を併せ持つ面々が顔をそろえた。
なかでも、前走の東京記念トライアルで大差勝ちを収めたホーリーブレイズに人気が集中。JRA在籍時は差す競馬が多かったが、前々で立ち回ったトライアルの内容に地方のダートに対する適性の高さがうかがえ、単勝1.6倍の1番人気に支持された。昨年の覇者で、今年も大井記念を制しているストライクイーグルが2番人気。10歳馬のサウンドトゥルーが休み明けながら3番人気で続き、以下は20倍以上のオッズとなった。
逃げたのは、前走と同じ2番枠に入ったホーリーブレイズ。掛かりぎみにリンゾウチャネルが2番手につけ、ストライクイーグル、サーヒューストンなどがこれに続く。前半3ハロンは38秒4と、先行勢に有利な印象を受けた。
しかし、2周目3コーナーの手前で早々に脱落したのは、断然人気のホーリーブレイズだった。内で我慢していたストライクイーグルもついていけなくなり、上位人気の2頭が後退するまさかの展開。その外を悠々と追い抜いていったのが、後方からレースを進めたサウンドトゥルーだった。
4コーナーで先頭に並びかけたサウンドトゥルーは、直線の入口で抜け出して独走。2着のサブノクロヒョウに7馬身差をつける圧巻の走りで、秋初戦を飾った。
やはりGⅠ/JpnⅠ・3勝の実力はダテではない。今年で10歳を迎えたが、金盃連覇を果たしたほか、ダイオライト記念JpnⅡでも3着と高い次元の走りを見せている。「4コーナーの手応えからは、もっと弾けるかなと思ったけど、休み明けのぶんかな。もっと良くなる」と森泰斗騎手も話したように、次戦以降に期待が高まる好内容だった。
2着のサブノクロヒョウは7番人気だったが、2017年にこのレースを勝っているように長距離適性は高い。西啓太騎手は「展開や位置取りは理想的だった。向正面からのスタートもこの馬には合っているし、力のあるところを見せられた」と納得の表情。もともと、スタートを決めて先団につけられれば力を発揮するタイプで、大井の長距離戦はそれがかないやすい条件。この路線では今後も注目の存在だ。
一方、ホーリーブレイズは7着。矢野貴之騎手は「息が入るところがなかった。他馬のプレッシャーもあったし、重賞のメンバーでは流れも違うから」と、ペースを敗因に挙げた。前記の通り前半はスローだったが、1周目のゴール板過ぎから3コーナー手前までは、トライアルより2秒ほど速かった。リンゾウチャネルがぴったり追走したことも相まって、見た目以上に厳しい流れだったようだ。また、ストライクイーグルは11着。内で窮屈な競馬を強いられたのが響いたが、外をのびのびと走れれば違うはず。枠順や展開次第で巻き返しもある。
サウンドトゥルーの次走は未定だが、佐藤裕太調教師は「大きいところも狙いたい。JBCクラシックも目標のひとつではある」と参戦を視野に入れている。2017年にJBCクラシックJpnⅠを制した際は、今年と同じ大井2000メートルが舞台。古豪の奮闘に期待が高まる。
Comment
森泰斗 騎手
10歳でこれだけ走るのだから、えらい馬です。休み明けでも仕上がっている感触だったし、リフレッシュできている感じもありました。道中は折り合いも完璧で、ペースも良かったですね。手応えからはもう少し弾けるかと思いましたが、そこは休み明けのぶんでしょう。次はもっと良くなると思います。
佐藤裕太 調教師
暑さがどうかと思っていましたが、自分で調教をつけているので調子がいいことは分かっていましたし、これなら乗り越えられると思っていました。森騎手もこの馬のことをよく分かっているので、道中はどこで行くかな、と、安心して見ていられました。次走は馬の様子を見て決めます。