園田競馬場は前日からファンの入場を再開。コロナ禍以降、入場を再開した競馬場でもファンバスの運行を見合わせているところもあるが、園田競馬場は最寄りの阪急園田駅から無料ファンバスを運行した。それでも密を避けるためか、普段より多い台数のバスが待機。これなら満席になる前に発車できるのだろう。
人馬の遠征も徐々に戻りつつあり、「2週連続で園田です」と検量室に姿を現したのは高知の赤岡修次騎手。前週の園田プリンセスカップに続く遠征だったのだが、その装鞍時、ジンギの主戦・田中学騎手が騎乗停止で乗れないことが判明し、急遽白羽の矢が立ったのだった。
そのジンギが1番人気で単勝1.8倍と抜けた存在。2番人気以下はやや混戦模様で、JRA時代にマーチステークスGⅢ勝ちのあるセンチュリオン(浦和)が5.1倍、2走前に名港盃で重賞初制覇を果たしたタガノジーニアスが7.3倍、重賞10勝のエイシンニシパが8.0倍、今春のオグリキャップ記念で重賞初制覇のマイフォルテが8.1倍と続いた。
頭一つ抜けた好スタートを決めたのはマイタイザン。今春は1400メートルを使われてきたことで「行きっぷりが良くなっています」(杉浦健太騎手)とすんなり先手を取った。すかさずジンギが続き、エイシンニシパはその後ろのイン、センチュリオンは中団からレースを運んだ。
4コーナーでジンギが早々に先頭に立ったのを見て動いたのはエイシンニシパ。外に切り替えるとスッと反応し、直線もしっかり伸びて同厩舎のジンギに2馬身半差をつけて勝利。クビ差の3着に内を通ったセンチュリオン、4着は追い込んだマイフォルテ、5着タガノヴェリテだった。
2着ジンギの赤岡騎手は「これで負けたら仕方ありません。まだ遊びながら走っている面があります」と、伸びしろを感じた様子。そして管理馬のワンツー決着となった橋本忠明調教師は「ニシパが勝って嬉しいですけど、うーん……ちょっと複雑な思いです。ジンギはまだまだ経験不足な部分がありながらも好勝負をしているので、今後が楽しみです」と嬉しさと悔しさが混在しているようだった。
エイシンニシパはこれで重賞11勝目。門別競馬場でデビューし、3歳の2016年1月に兵庫移籍初戦を迎えると、今年まで5年連続で重賞を勝っている。また、移籍当初は橋本忠男厩舎所属だったのが、同調教師が70歳の誕生日を前に勇退。引退セレモニーの前日(17年1月3日)に、エイシンニシパは新春賞を制覇し、いまは子息の忠明厩舎で勝利を重ねていることを考えると、本当に息の長い活躍をしていることが分かる。吉村智洋騎手も「毎年重賞を勝つのですごい馬ですね。今日は声援が聞こえて気持ち良くなって、(ゴール後に)左手を上げました」と喜びに溢れていた。
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吉村智洋 騎手
絶好枠を引きました。向正面では反応が悪かったのですが、3コーナー過ぎから馬がやる気になり、抜け出した時には「いける」と感じました。エイシンニシパにとっては新春賞以来の重賞制覇で嬉しいです。この時期から調子を上げていく馬で、7歳ですが若くて元気。これからも重賞で活躍できるでしょう。
橋本忠明 調教師
前走後の短期放牧から帰ってきて、すごくいい状態でした。内枠なのでスタートだけ出すようにと伝えていて、その通りの騎乗。いいポジションで折り合っていましたし、今日は本当に強かったですね。この後の目標は12月の園田金盃で、状態を見て間に1戦挟むかもしれません。