当日は気温がグングン上がって真夏日となり、前日まで降りしきった雨の影響か蒸し暑い。第1レースは重馬場でスタートし、下級条件でも好タイムが連発。クラスターカップJpnⅢは良馬場の発表も、砂は引き締まっており時計の出る状態。コロナ禍ではあるが熱心なファン2676人の入場者があった。
注目は前日の札幌競馬で前人未到のJRA通算4200勝を達成した武豊騎手が鞍上のマテラスカイ。実績とスピード、負担重量も55キロで単勝2.1倍の1番人気に支持された。3連勝を飾って前走のプロキオンステークスGⅢ・5着と充実の4歳馬トップウイナーが3.1倍の2番人気、昨年2着に逃げ粘ったヒロシゲゴールドが6.4倍の3番人気と続き、2017年の覇者で昨年JBCスプリントJpnⅠを制してNARグランプリ年度代表馬になったブルドッグボスは59キロを背負っており8.2倍の4番人気だった。
注目の先行争いだが、1番枠を味方に押して押して昨年同様にヒロシゲゴールドが逃げる。スタートが良かったマテラスカイは競ることなく2番手に控える競馬に。アユツリオヤジ、スティンライクビー、追って追ってトップウイナーまでが先団で、ブルドッグボスは中団8番手。
4コーナーではスティンライクビーが脱落し、ブラゾンドゥリス、ショームが追い上げるもヒロシゲゴールドとマテラスカイが後続を引き離して直線へ。2頭の争いを制したのがマテラスカイ。直線猛追したブルドッグボスは3着。ラップは12.1-10.4-11.2-11.3-10.8-12.7で、勝ちタイム1分8秒5は08年12月14日に中山競馬場でビクトリーテツニーがマークした1分8秒7を0秒2更新するダート1200メートルの日本レコードとなった。マテラスカイは18年プロキオンステークスGⅢ(中京)でのダート1400メートル・1分20秒3に続き、重賞2勝ともに日本レコードとはビックリ。
武騎手は「マテラスカイはパドック、返し馬でもリラックスしてましたが、久しぶりのお客さんの前のレースだったので僕が緊張しました……。ですがお客さんに見に来ていただいてこその競馬かなということを改めて実感しました。久しぶりにファンの皆さんの前でレースができて嬉しかったです」。最後に「スピードはやはり現役屈指のものを持っている馬。今後の状況にもよりますがまた一緒に海外に行けたら良いなと思っています」とも、語っていた。
半馬身差の2着となったヒロシゲゴールドの藤岡康太騎手は「時々スタートが悪いのですが今日は上手に決まりましたし、枠も枠なので逃げるつもりで運びました。レコード決着の中で、リズムは悪くなかったんですけれど、相手が一枚上でした」
2馬身半差で3着ブルドッグボスの御神本訓史騎手は「状態は最近の中では一番良かったです。最後は詰めてきているけれど、59キロは酷でしたね。前も止まらないですし、この馬の力は出せたと思います」
さらに2馬身半差で4着トップウイナーの和田竜二騎手は「外枠を引いたので、何とか勝ち馬についていこうと思っていたんですけれど、息を入れたいところでまた速くなってしまいました。強いメンバーで(オープンの)1200メートルも初めてでしたし、これからの馬だと思いますので、今後に期待したいです」
マテラスカイの森秀行調教師は「コロナの問題があって難しいけどなんとかまたアメリカに行きたい。今後はJBCに向かうか、行けるならブリーダーズカップを目指したいと考えています」と語っていた。
Comment
武豊 騎手
チャンスがあるレースだと思っていました。ほとんどのレースで先手を奪ってきたんですけど、今日は他にも速い馬がいましたし、枠も少し外だったので、内のほうが速ければ2番手でもと思っていました。今日の直線に向いたあたりの手応えなら大丈夫かなという感じはありました。
森秀行 調教師
テンに速いと思っていたけど今日は2番手から差したんでね。指示は出してないですよ、騎手に任せてますから。2番手でも自分のペースで行けたのが良かったんでしょう。逃げた馬が止まらないんじゃないかとも感じたので、差し切ってくれてホッとしました。