秋の東京盃JpnⅡ、そしてJBCスプリントJpnⅠを見据えた一戦。今年はJBCの舞台が大井となるだけに、ここでその能力や適性が試されることになる。
春の東京スプリントJpnⅢで2着だったサブノジュニアが単勝2.3倍の1番人気で、同3着のキャンドルグラスが3.5倍で続いた。前者はここまで重賞勝ちがなく、後者は今年1月の船橋記念でようやく重賞初制覇。ともに今年6歳で、3歳時から高い能力を認められながらタイトルには恵まれずに来ていたが、秋の大舞台に向けて手応えを感じさせる走りを見せた。
5頭ほどが激しい先行争いを繰り広げ、その中からクルセイズスピリツ、サイタスリーレッドが互いに譲らず併走したまま先頭で3~4コーナーを回った。人気2頭はと見れば、キャンドルグラスは前からやや離れた6番手あたり、スタートでダッシュがつかなかったサブノジュニアは縦長の11番手からの追走となった。
しかし前2頭の前半3ハロン通過34秒1は、地方同士のレースとしてはいかにも速い。直線を向いても2頭が3番手以下を離して逃げていたが、徐々に行き脚が鈍って後続が差を詰めてきた。
直線半ば、残り200メートルあたりでキャンドルグラスが前2頭を交わす勢いで伸び、そのうしろにはブロンディーヴァも続いた。そこに内を突いてするすると伸びてきたのがサブノジュニア。逃げていた2頭の間を突いてあっという間に抜け出すと、キャンドルグラスに1馬身半差をつけての快勝となった。
1馬身3/4差の3着には、3歳牝馬で51キロのブロンディーヴァ。優駿スプリント2着のあと、初めての古馬との対戦となったトライアルを勝って短距離路線に活路を見出し、ここでも好走を見せた。
一方、優駿スプリントを勝って1200メートル以下ではここまで5戦全勝、3歳ながら3番人気に期待されたカプリフレイバーだったが、ハイペースで飛ばした前2頭を追いかけ直線馬群に沈み12着だった。
勝ったサブノジュニアは後方からの追走になったとはいえ、上り3ハロン35秒8はすばらしい。大井の生え抜きで、ダート1200メートルはこれで21戦して10勝、2着7回、3着2回。3着以内を外したのはわずか2回。どんな馬場状態でも1分11秒台を続けてマークしている近況は、ここに来ての充実ぶりがうかがえる。
矢野貴之騎手は、「重賞にはあと一歩というところで、この馬がなんで重賞を勝てないんだろうとずっと不思議でいて、ここでひとつ大きいところを獲れてホッとしているのと、非常にうれしく思っています」と思いを語った。
キャンドルグラスは2着に敗れたとはいえ、サブノジュニアより1キロ重い58キロを背負っての1馬身1/4差。過去2年連続で5着に好走している東京盃JpnⅡでは、引き続き別定増量のない56キロで出走できることから、サブノジュニアとともに、地元南関東勢の期待となりそうだ。
Comment
矢野貴之 騎手
力があるのはわかっていたんですけど、位置取りが思ったよりうしろになってしまい、焦ったところもあって、窮屈な競馬をさせてしまったので、そのあたりは反省です。勢いがついてしまえば南関東ではナンバーワンなんじゃないかというくらいの、ひじょうにいい差し脚を使ってくれました。
堀千亜樹 調教師
若い頃は気性的に難しい面があり、2度の骨折で戦線離脱もあったので、今は充実してくれてありがたく思います。馬混みは得意なほうで、かえって早く先頭に立つとやめてしまうところがあるので、そこは気にして見ていました。馬も充実して、これから交流レースで見せ場が作れるよう頑張りたいと思います。