今年は平日ながら昨年の半数とはいえ3473人の熱狂的なファンが盛岡競馬場に来場。第5レース途中からポタポタと雨が降りだすと、徐々に雨脚が強くなりマイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠのファンファーレが鳴り響くと場内は拍手で最高潮へ。
ジーワン馬6頭が集結。上位人気は朝から目まぐるしく変わる状況で最終的に単勝1番人気に支持されたのは連覇を狙うサンライズノヴァで3.5倍、2018年に芝の安田記念GⅠ勝ちがあり今年のフェブラリーステークスGⅠを制したモズアスコットが4.7倍、ジーワン5勝馬で4度目の南部杯JpnⅠとなるゴールドドリームが4.9倍、5月のかしわ記念JpnⅠを逃げ切ったワイドファラオが5.3倍、昨年のフェブラリーステークスGⅠを逃げ切ったインティが6.5倍、昨年の南部杯JpnⅠ・2着馬アルクトスが6.9倍という大混戦。発表は稍重であったが重馬場に近い状態で、この雨が勝負の明暗をわけた。
内枠3番からインティが逃げ、スタートを決めたモズアスコットがピッタリマークする形で2番手につける意外な位置取り。地元パンプキンズが積極的に攻めて、直後にモジアナフレイバー、アルクトスが先団。ワイドファラオ、ゴールドドリーム、サンライズノヴァが続く流れに。
残り600メートル過ぎから各馬が動いてモズアスコット、アルクトスが4コーナーでは並んで先頭。逃げたインティは一杯となり、外に持ち出したモジアナフレイバー、さらにその外にワイドファラオ。直後のゴールドドリーム、サンライズノヴァが追い込み態勢で直線は横一線の激しい叩き合い。
モズアスコットが押し切ろうとするところに、坂を登ってから540キロ台の迫力ある馬体アルクトスがグイグイと脚を伸ばしてクビ差の接戦を制した。昨年2着の屈辱を晴らし、ジーワン馬の仲間入り。
その勝ちタイムは16年に同じく田邊裕信騎手が鞍上だったコパノリッキーのレコードを0秒8も更新する1分32秒7。さらにこのタイムは01年に東京競馬場でクロフネが記録した1分33秒3の日本レコードも0秒6更新するスピード決着となった。ラップは12.5-10.8-10.9-11.3-11.8-11.6-11.5-12.3で前半3ハロン34秒2、上がり3ハロン35秒4。8月のクラスターカップJpnⅢでもマテラスカイが盛岡ダート1200メートルで日本レコードを出しており、文字通り盛岡は日本一の高速馬場といっても過言ではない。
「スタートは上手な馬。前走のエルムステークスは先行馬がそろっていたので、意識的にその流れに乗らないようにポジションは下がりましたけど、今日は好位のポジションは取りたいと思っていた。全体の時計は速かったけど、道中は余裕を持って進めましたし、今日の馬場の傾向からしても早めに押し切りたいと思った。今日は正直、去年よりもメンバーが濃いと思って、この馬自身も絶好調じゃないと、それでも勝てるかどうか正直思わなかったぐらい。良く勝ちきってくれて誉めてあげたいです」と田邊騎手が熱く語ってくれた。
「次走は武蔵野ステークスを考えていましたが、今回の結果から改めてオーナーと相談したいと思っています」と栗田徹調教師。
Comment
田邊裕信 騎手
3歳春からコンビを組ませてもらって試行錯誤しながら大きいレースを獲らせたいと思ってきた馬なので、今日はすごい嬉しい。去年は2着でしたが、今年は状態が良かったので、ここ一番だと思ってみんなで仕上げてもらいました。ゴール前は昔からのこの馬のレースが浮かんできた。馬にお疲れ様と言いたい。
栗田徹 調教師
昨年2着の雪辱ができて嬉しいです。昨年まで体質が弱く思うように使えなかった。今年は体質強化して使いながらローテーションを組むことができるように。調教コースを替えたりして力の足りなさをどう克服するか、うまくいきました。馬場も味方したけど、今日がこの馬の力だと思います。