1998年にダートグレードに格付けされた当初は、アブクマポーロやサプライズパワー、マキバスナイパーなどが勝利し、地方勢の活躍が目立ったこのレースだが、9年連続でJRA勢が勝利。Road to JBCとして存在感が高まるにつれて、JRAから参戦する出走馬のレベルが上がってきている証拠だ。加えて、今年はJRA勢だけでなく、ミューチャリーやストライクイーグル、サルサディオーネ、ヒカリオーソなど、地方からも実績馬が集結。勝ち馬に与えられるJBCクラシックJpnⅠへの優先出走権をかけ、例年以上の激戦が予想された。
レースは想像をはるかに超える激しい展開となった。是が非でも逃げたいサルサディオーネに、上位人気の2頭アナザートゥルース、ダノンファラオが絡み、前半3ハロンは33秒8の超ハイペース。平均的な馬場傾向で推移していたこの開催だけに、スプリント戦並みのペースはいくら何でも速すぎた。実績のある3頭といえども、その先行態勢は4コーナーまで。離れた4番手で息をひそめていたロードブレスが直線で脚を伸ばして先頭に躍り出ると、2馬身差で勝利。後方から伸びたデルマルーヴル、ストライクイーグルが2、3着に入った。
ロードブレスは今回が重賞初挑戦。上位人気馬がペースに翻弄されたとはいえ、末脚自慢のミューチャリーが同じような位置につけていながら4着だったことを踏まえれば、この馬自身も急流のなかに身を置いていたことになる。“展開が向いた”というひと言では片づけられない、パワフルな走りが見て取れた。鞍上の三浦皇成騎手は「このクラスでもやれると思っていたが、これだけ早く重賞を勝てるとは思わなかった」と話したが、これでダートに転じてから6戦5勝。中距離路線の新星が誕生した。
デルマルーヴルは乱ペースのなか、持ち前の自在性を生かして2着に追い込んだ。「しまいも伸びていたが、勝ち馬にセーフティーリードを取られてしまった。久々の1800メートルで忙しさもあったが、力があることは証明できた」と戸崎圭太騎手。ロードブレスの仕掛けのタイミングと力強い走りに屈した格好だが、堅実な走りは相変わらず。今後もダートグレード路線を沸かせてくれるに違いない。
3着には大井のストライクイーグルが入った。ばらけた展開で外めをスムーズに走れたのが大きかったが、JRA勢と互角の末脚を発揮した内容に、南関東トップクラスの意地がうかがえた。森泰斗騎手は「前が結構流れていたからね。最後はいい脚だったが、この馬にはもう少し距離がほしいかも」と話しただけに、適距離なら、より高いパフォーマンスを発揮しそうだ。
地元勢の筆頭格として期待されたミューチャリーは4着で、「勝つならついていくしかないと思ったが、なし崩しに脚を使わされた」と御神本訓史騎手。1番人気のアナザートゥルースも「速いペースで、最後は疲れてしまった」(クリストフ・ルメール騎手)ために5着と、ハイペースに翻弄された。7着に敗れたダノンファラオも含め、まともな流れなら結果も違ったはず。JBCクラシックJpnⅠも含めた今後の巻き返しは十分にある。
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三浦皇成 騎手
着実に力をつけていることが、勝ったことよりも嬉しく思います。前の3頭を見ながら自分のリズムで行こうと思っていて、どこからでも動ける手ごたえでした。思った以上に馬が反応してたし、底知れぬ成長力を感じます。今後も競馬を使いながら、良い面を伸ばしていければいいと思います。
奥村豊 調教師
ダートに転向してから一戦一戦、課題を克服しながら来られています。リズムを重視すればいいパフォーマンスを発揮できるというのが、この馬の強み。まだ精神的にも肉体的にも成長途中で、次走は馬の状態を見極めてから考えるつもりですが、先々はダート界を背負える存在になれればと思っています。