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第28回 2010年11月19日 チャンストウライ

 兵庫生え抜き馬として全国を舞台に戦い続け、08年佐賀記念JpnIIIは中央の強豪たちを退けてのレコード勝ち。兵庫初の古馬のダートグレードレース制覇を成し遂げました。通算12勝(重賞7勝)、『兵庫にチャンストウライあり!』と印象づけた現役時代。今年3月の六甲盃で競走中止し休養を余儀なくされていましたが、現役引退が決定しました。

 新天地は、功労馬の牧場としても有名な高知県須崎市の土佐黒潮牧場。高知所属として黒船賞を制したリバーセキトバや屈腱炎と戦いながら不屈の精神で走り続けたナムラコクオー、ラガーチャンピオン、エイシンガイモンなど競馬ファンにはお馴染みの馬たちが暮らしています。

 チャンストウライのオーナーさんたちは、日本全国の牧場を自分たちの目で見て回り、この土佐黒潮牧場に決めたそうです。

 私も以前おじゃましたことがありますが、『本当に引退馬?』と思うくらいに、馬たちは馬っぷりも抜群で毛づやもピカピカ。そして、それぞれが自己主張をちゃんとしていて生き生きした姿をしていました。

 「こんなに稼いでくれた馬だし、今度はチャンストウライに恩返しがしたいから、オーナーさんたちで一生面倒を見たいってことでしたわ」と濱脇敬弘場長。今後も引き続きオーナーさんたちの預託馬として過ごすそうです。

 9月24日にこの新天地へやって来たというチャンストウライ。「最初はハ行をして歩様もスムーズじゃありませんでしたが、今は乗り運動ができるまでに回復しました。数日前に蹄鉄をはかせたら、はしゃいで走り回っとりましたわ(笑)」(濱脇場長)。

 入厩して1カ月ほどは脚元に負担をかけないようにカイバを調整していたので少々スリムだったそうですが、今はチャンストウライに合った量のカイバをペロリと平らげているそうで、健康体で大きくなっているそう。

 つい先日もオーナーさんたちや現役時代に管理をしていた寺嶋正勝調教師がチャンストウライに会いに来たそうです。

 「幸せを絵に描いたような馬ですわ」(濱脇場長)。

 競走馬の引退後は、余生を送れるのはほんのひと握りという厳しい現実であることは、競馬ファンの皆さんもご存知のことでしょう。濱脇場長にお話しを聞きながら、こんなに幸せな馬はなかなかいないと、グッとこみ上げてきました。

 チャンストウライのニックネームは『チャン』。放牧と適度な運動を入れながら、功労馬として余生を過ごしていきます。南国の温暖な地で、ゆったりと穏やかに……

 土佐黒潮牧場のホームページはこちら(http://www5.ocn.ne.jp/~hihin/)です。

高橋華代子(たかはしかよこ)
元NHK山形放送局キャスター。
現在は南関東競馬を中心に活動中。

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