地方競馬最多勝54勝(重賞7勝)という金字塔を打ち立てたアングロアラブのエスケープハッチ(地方競馬全国協会ができた昭和37年以降の記録)。高知競馬のスターホースとして全国にその名が知れ渡りました。
08年12月のレースを最後に、惜しまれつつ引退。長きに渡って管理してきた田中譲二調教師は、こう話したといいます。「エスケープハッチは自分(田中師)のことが大好きで甘えてくる。いなくなると自分が一番寂しい」。
第二の馬生は、引退競走馬の余生を支援するネットワーク『引退馬ネット』のサポートホースとして、『エスケープハッチの会』というファンたちの支援の元で、功労馬として過ごしています。
ハッチの住まいは、競馬ファンに有名な新ひだか町の荒木克己さんの牧場。南関東変則3冠馬のオリオンザサンクスが種牡馬として繋養されていて、南関東無敗の4冠馬トーシンブリザードとサラブレット最多勝記録(43勝)を持つ栃木の怪物ブライアンズロマンが功労馬として過ごしています。そんな豪華な面々が放牧地に放されている姿は、まさに壮観な眺め。
現役種牡馬と種牡馬経験のある貫禄十分の先輩たちに囲まれると、ハッチの若さはひと際目立つといいますか・・・。ロマンの18歳を筆頭に、サンクス13歳、トーシン11歳。9歳のハッチは、この中に入ったらまだまだ若造ですもんね(苦笑)。
「うちに来た頃は歴戦の疲れや長旅の影響もあって腹まわりが巻き上がっていましたが、今はひと回り大きくなった感じがしますね」と克己さんの次男・荒木貴宏さん。健康状態は良好で、すこぶる元気に過ごしているそうです。
「人間とのかかわりが強い馬だったんだなぁって感じますよ。自分が馬っていう感覚が薄いというか、人間の感覚の方が強い馬です。調教師さんにすごくかわいがられていたこともあるんでしょうねぇ。幸せな馬だと思います」(貴宏さん)。人の気配を感じると、ハッチはひょっこり寄ってきてカメラに向かってポーズ。ひと懐っこく、誰からも愛される性格だといいます。
今後もファンの皆さんの支援の元で余生を送っていくハッチ。会員は随時募集中なので、『
引退馬ネット』のホームページと『
エスケープハッチの会』のホームページでご確認下さい(『ブライアンズロマンの会』については
こちら)。
今年3月に北海道へ来た頃は、慣れ親しんだ高知が暖かかったこともあって、最初は寒さに堪えたそうですが・・・今年はもう、慣れたかなぁ?
荒木克己さんの牧場見学の際は
競走馬のふるさと案内所でご確認お願いします。