「アローウィナーが障害飛越競技で活躍しているんですよ!」知人からそんなうれしい便りを聞いたのは、今から数か月前のことでした。
アローウィナーは、羽田盃、東京ダービーと並んで南関東3冠レースのひとつとして位置付けられていた東京王冠賞(01年廃止)を制したクラシックホース。ホワイトストーン産駒としても人気を博し、芦毛とは言え、白毛をも彷彿とさせるかのような真っ白な馬体が、TCKのカクテル光線に映え渡っていました。
中央に移籍後は障害競走を中心に数戦するも、脚部不安を発症し引退。現役時代に障害調教の基礎を学んだゆかりのある、千葉県香取市の北総乗馬クラブで第二の馬生を過ごし始めました。
北総乗馬クラブは、競走馬生産・育成の北総ファームも併設している施設。乗馬クラブ責任者の林忠義さんは、シドニー・アネテオリオンピック障害馬術日本代表選手としても知られています。「障害調教でうちに来ていたときから、素晴らしい馬でしたよ。フットワークが良くて、障害を跳ぶのにもってこいでしたね。天性のものがあると思います」と林さん。馬術に携わる人だったら、駆け足を見れば、みんな魅了されるほどの逸材だと言います。
04年10月中旬にこの新天地にやって来ました。1年間は脚元の治療に専念し、2年目から本格的にスタート。物覚えが非常に良く、息子さんで中学3年生になる義昌さんの全日本ジュニアの部を中心に、さまざまな競技で活躍中(もちろん林さんとともに全日本の大会にも出場しています)。
大会は大小問わず、一年間を通じてさまざま行われているそうで、アローウィナーも年間で10回ほどの大会に出場して忙しい日々を送っているそうです。競走馬出身の競技馬として、それ専門で育てられてきた競技馬たちの中に入って奮闘中。昨年は馬事公苑の大会で、優秀内国産賞にも輝いたほど!!
12歳になったアローウィナーは、その白さもさらに増していました。「小柄だけど、顔もカッコいいし馬品があるというか、走っている姿が一番カッコいいですね。競技でも目立ちますよ、あれだけきれいな馬はそういないと思います」(林さん)
私がおじゃましたのは馬事公苑の試合が終わった後でしたが、精かんな雰囲気を漂わせていました。「アスリートと一緒」と林さんは言います。競馬から障害飛越競技へ舞台を移しただけで、アローウィナーは今もなお、戦いの場に身を置いているんだなぁと。人懐っこくてかわいいところは、変わりませんが・・・。
*
北総乗馬クラブホームページ
*
日本馬術連盟ホームページ内にて、アローウィナーの成績を検索することができます。