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東京盃~マイルチャンピオンシップ南部杯(第65回)

東京盃JpnⅡ

 中央馬はわりと年齢の高い馬が多かったですが、1分11秒0という勝ちタイムは、まずまずだったのではないでしょうか。
 タイセイレジェンドは外枠からのスタートで、内から行く馬がいれば行かせてという、マイペースで3番手からの追走でした。3~4コーナーでは大外を回してきて、かなり自信があったのでしょう。前走から1キロ軽くなったとはいえ、それでも58キロを背負って2着のテスタマッタに3馬身半差は強い競馬でした。
 テスタマッタも58キロで、内枠だったこともあって、中団よりうしろに控えて末脚勝負に賭ける競馬をしました。内がわりと空いていましたから、ロスなく位置取りを上げてきて、直線でも伸びてきました。
 アイディンパワーは今回もうしろからでしたが、ゴール前よく追い込んできました。人気があまりありませんから、自分のレースに徹して持てる力を発揮しました。
 ハードデイズナイトは4コーナーから直線を向いて、タイセイレジェンドと並んでいて、いいところまでいきましたが、直線半ばで下がってしまいました。アフター5スター賞は強い競馬をしましたが、これがやはり中央一線級のカベでしょう。一度この厳しいペースを経験すれば、次は期待できるかもしれません。

レディスプレリュードJpnⅡ

 メーデイアは行こうと思えば前に行けるし、控える競馬もできるし、自在性があるところも強みです。今回はダッシュがよかったので2番手追走となりました。2着とは1馬身差でしたが、最後は余裕がありました。今のところ牝馬同士では、この馬にかなう馬はいないようです。
 アクティビューティが終い伸びて2着争いを制しました。好位に控えて、道中溜めていたぶん、終いの伸びにつながったと思います。
 レッドクラウディアは1番枠からのスタートで、ずっと内々を回ってきて、福永騎手はうまく乗っていました。
 クラーベセクレタは、スパーキングレディーカップではまったく競馬になりませんでしたが、今回は差のない4着で、だいぶよくなってきているようです。
 3歳のアムールポエジーは、このメンバーでもいいところがあるのではと思って見ていたのですが、3コーナーから追い出して、メーデイアに勝負にいったぶん、直線で伸びを欠いてしまいました。メーデイアの強さはこうしたところでも際立ちます。アムールポエジーは鍛えていけば、まだまだ強くなると思います。

白山大賞典JpnⅢ

 いつものようにエーシンモアオバーが逃げて、1周目のスタンド前ではペースが落ち着きましたが、それ以外はほとんど緩むところがなかったようです。1コーナーを回る手前でシビルウォーが進出してきて、それを見て1~2コーナーあたりではペースアップしています。中央馬は斤量を背負っている馬が多いので、終いの一瞬の脚は生かしにくいので、どうしても早め早めに仕掛けてくることになります。岩田騎手がじわじわとペースを上げていって後続に脚を使わせるという、好騎乗でした。
 ハタノヴァンクールも早め早めに仕掛けて、4コーナーあたりで前を射程圏に入れましたが、最後、交わせそうで半馬身届きませんでした。58キロより上になると、59キロはかなり重く感じて、60キロになるとさらに馬への負担が大きくなるのを感じます。
 シビルウォーは早めに仕掛けていったのですが、エーシンモアオバーにうまくペースアップされて、並びかけるまでいきませんでした。58キロとなると直線で差し切るような脚も使えませんでした。

エーデルワイス賞JpnⅢ

 フクノドリームはダッシュもいいし、二の脚も速いので、この馬のペースについてこられる馬がいませんでした。直線、最後はほとんど追っていませんでした。1分11秒6という勝ちタイムも、2歳馬としてはかなり速いです。ここでは次元の違う強さでした。横山和生騎手は、デビューした年はあまり目立ちませんでしたが、今年ローカル開催でたくさん勝って腕を上げました。
 人気薄のラブミーブルーが2着に入りました。無理して勝ち馬を追いかけなかったのがよかったのではないでしょうか。対して地元馬で人気のノットオーソリティは、勝ち馬に離れずついていったぶん、最後に勢いをなくして4着でした。

マイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠ

 エスポワールシチーは、スタートがよかったこともありますが、ほかに行く馬もいなかったので無理せずハナに立ってマイペースに持ち込みました。内のグレープブランデーが下げてくれたこともあって、楽に先行することができました。後藤騎手は直線でホッコータルマエに来られる前に突き放しました。エスポワールシチーはローテーション的に無理せず使われているので、この年になっても衰えがないのかもしれません。
 ホッコータルマエは2番手を追走して、直線でつかまえるのかと思って見ていましたが、今回はエスポワールシチーの後藤騎手にうまく乗られてしまいました。直線で一旦は離されましたが、ゴール前で差を詰めたのは、この馬の底力でしょう。帝王賞以来3カ月半ぶりということもあったかもしれません。ここを叩いて、JBCはよくなってくるでしょう。
 グレープブランデーは向正面で少し行きたがる場面がありました。休み明けだからということもあったかもしれません。この馬も、ここを叩いて上向いてくるでしょう。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。