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サマーチャンピオン~ブリーダーズゴールドカップ(第63回)

サマーチャンピオンJpnⅢ

 エーシンウェズンは後方からになりましたが、向正面で一気に仕掛けていきました。サマリーズを楽に行かせすぎると粘り込まれるということもあったでしょう。あそこで一気に行ききって先頭に立ったところが勝因です。直線の短いコースでは、このくらいのタイミングで早めに仕掛けたほうがいいです。思い切って行った川田騎手は好騎乗だったと思います。
 逆にガンジスは、エーシンウェズンが来た時に行かせてしまって苦しくなりました。ゴール前では差を詰めてくる脚があっただけに、残念でした。向正面で一瞬早く仕掛けてハナを譲らず馬体を併せて行ければ勝てたかもしれません。
 コスモワッチミーは3番枠からのスタートで、内でじっとしていました。内目でも砂が重くないギリギリのところをずっと回ってきました。そして直線では外に持ち出して、ロスの少ないところをうまく回ってきての3着でした。赤岡騎手はさすがに佐賀のコースを何度も経験して慣れています。
 サマリーズは楽にハナをとって、道中も楽に走っていましたが、今回は勝ち馬に早めに来られたからか、前走のスパーキングレディーカップ(2着)のような粘りは見られませんでした。

クラスターカップJpnⅢ

 ラブミーチャンは外枠から好スタートを切りましたが、内から行く馬がいると見ると、戸崎騎手は無理せず3番手に控えました。昨年の東京盃もそうでしたが、控える競馬ができるようになって、走りが安定してきました。内枠からでは包まれてしまう可能性があるので、少し無理をしてでも前に行かないといけませんが、外枠で控えられれば楽に競馬ができます。馬なりで追走できたぶん、直線の坂を上ってからも脚が残っていました。戸崎騎手も一度乗って勝っていますから、今回は余裕がありました。それにしてもラブミーチャンは強くなりました。
 タイセイレジェンドは、59キロでもよく2着に粘りました。それだけ背負っていると差す競馬は難しいですから、今回は積極的に前に行ったのでしょう。
 ノーザンリバーの武豊騎手は、めずらしくゴール前でフォームが崩れていました。3コーナーからずっと追いどおしで追走してきましたから、さすがに(騎手の方が)一杯だったのかもしれません。短距離戦は追いどおしになることがあるので、長距離戦よりもむしろ騎手は疲れます。それにしてもこういう武騎手は初めて見たような気がします。

ブリーダーズゴールドカップJpnⅡ

 ハタノヴァンクールは2番枠からのスタートでしたが、最初の直線で他馬の動きを見て、うまく外に持ち出し、4~5番手からの追走となりました。おそらくすぐ前のシビルウォーをマークしていたのでしょう。川崎記念を勝って、その後はなかなか勝ちきれませんでしたが、今回のような最後に一瞬の脚を生かせる展開になれば強いレースをします。まだ4歳ですから、これからが楽しみです。
 シビルウォーは、今回は気合を入れて3番手に行きました。じわじわと長く脚を使える馬ですから、ハタノヴァンクールに来られる前に早めにレースを進めたんだと思います。最後、ハタノヴァンクールには交わされましたが、3コーナー過ぎから追いどおしで、それでいて最後までバテてはいません。2着に負けはしましたが、力のあるところは見せました。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。