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第57回 2013年3月5日 佐賀記念~エンプレス杯

佐賀記念 JpnⅢ

 ホッコータルマエはスタートダッシュがいいですね。エーシンモアオバーを行かせて、すぐにその2番手につけました。ペースも速くはなりませんでした。幸騎手は、前のエーシンモアオバーを楽には行かせず、あとはそれをとらえればという競馬でした。4コーナーまでエーシンモアオバーに楽に行かれると、そのまま逃げ切られてしまうと考えたのでしょう、3コーナー過ぎで早めにつかまえに行きました。
 エーシンモアオバーはマイペースで逃げはしましたが、この馬だけ58キロは厳しかったかもしれません。それでもキングスエンブレムには5馬身差をつけました。
 キングスエンブレムも3番手のいい位置につけました。3着には入りましたが、エーシンモアオバーからはちょっと離されました。ヴァーミリアンの下で、シリウスステークスを勝ったとき(2010年)はもっと強くなるかと思いましたが、その後はあまり伸びてきません。

エンプレス杯 JpnⅡ

 ミラクルレジェンドは、中団よりうしろからでした。それでも、それほど離されない位置をついていきました。道中は折り合いもついていました。向正面で仕掛けてからの脚色はやはり違いました。直線でも追い出されてからの脚は際立っています。440キロ台で小さい馬でしたが、この馬はほんとうに長く無事に走りました。
 エミーズパラダイスがレースを引っ張って、川崎の2100メートルだと普通はスタンド前でペースが落ちるのですが、ペースが緩むところはほとんどありませんでした。戸崎騎手はいいペースで逃げました。直線を向いて一旦はうしろを離しましたが、最後はミラクルレジェンドに交わされました。それでも3着のダートムーアに5馬身差をつけていますから、もしミラクルレジェンドがいなければ、圧勝という内容でした。
 ダートムーアは、向正面でミラクルレジェンドが行ったときに、一緒についていければもう少し見せ場はあったかもしれません。ただ3コーナー過ぎから完全に離されてしまいました。そのあたりは地力の差でしょう。これから厳しい相手とのレースを経験すれば、まだまだ上が目指せるでしょう。
 プレシャスジェムズはいいペースで好位を追走して、もう少し粘るかと思いましたが、最後は勢いをなくして4着でした。


佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。