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第48回 2012年6月5日 かしわ記念~さきたま杯

かしわ記念JpnⅠ

 エスポワールシチーは、フリオーソを行かせてすんなり2番手からでした。3~4コーナーからフリオーソを交わしに行きましたが、もう少し仕掛けを遅らせて、4コーナーを回ってからでもよかったように思います。ただ、前のフリオーソを目標に乗っているので、早めにとらえに行くのは仕方なかったかとも思います。かしわ記念はこれで3勝目、本来の力が発揮できれば、やはり強いです。勝ちタイムの1分36秒5もかなりいいタイムでの決着でした。
 フリオーソはダッシュよく飛び出し、エスポワールシチーより1つ内の枠だったこともあってハナを切りました。2着に負けましたが、まだまだJpnⅠクラスでも十分にやれます。たいした馬です。
 テスタマッタは1コーナーで外に膨れるような場面があって、前2頭とはやや離れた位置からの追走となりましたが、あまり影響はなかったと思います。直線、最後はフリオーソに2馬身差まで迫ってきました。さすがにGⅠを勝っているだけの力はあります。
 ランフォルセは離された4着でした。川崎記念がスマートファルコンの2着で、ダイオライト記念を勝っていますが、この馬には今回はちょっと忙しい競馬になりました。もう少し距離が長いほうがいいようです。2000メートル以上のレースで巻き返してくるでしょう。

兵庫チャンピオンシップJpnⅡ

 エイシンキンチェムが逃げて、スタンド前ではかなりペースが遅くなりましたが、勝ったオースミイチバンは、2番手でよく折り合いをつけました。馬体もいいし、いい走りをしています。距離が伸びてまだまだ強くなりそうで、ジャパンダートダービーに出てくるようであれば楽しみです。
 タイセイシュバリエと、プーラヴィーダは、3番手、4番手の追走で、ペースが落ちたところでかかってしまいました。タイセイシュバリエが3コーナー手前で内からエイシンキンチェムを積極的に交わして行ったのに対して、プーラヴィーダは控えたままでした。2着と3着はその差だったかもしれません。結果論になりますが、プーラヴィーダはかかったところで抑えずに行かせてしまえば違っていたかもしれません。

かきつばた記念JpnⅢ

 ジーエスライカーとエーシンクールディが競り合って、テンのペースが速くなりました。セイクリムズンは4番手からで、控える競馬でも、逃げる競馬でもできるのが、この馬のいいところです。今回57キロで、サマーウインドを除けば他の馬とは2キロ以上差があって、それだけに強い競馬でした。
 ダイショウジェットは、浦和のオーバルスプリントで強い勝ち方をしましたが、前が早くなる展開になると、終いにいい脚を使います。
 ラブミーチャンは、前が速くなったぶん、今回は3番手からでした。セイクリムズンが3コーナー手前で仕掛けて、それでも譲らずに食い下がったあたりは、力をつけていると思います。早めにセイクリムズンに来られる厳しい展開で、最後、ダイショウジェットには交わされましたが、それでも3着に粘っています。中央勢がもう少し軽い相手になれば、ダートグレードを勝つチャンスはあると思います。今回のように控える競馬を経験していると、今度はハナに行った時に強い競馬ができます。

さきたま杯JpnⅡ

 セイクリムズンは、今回はハナに行く展開になりました。かきつばた記念では3コーナー手前から仕掛けて行きましたが、今回は3コーナーから持ったままで後続との差を広げていきました。かきつばた記念を勝ったときとは走りっぷりが変わってきていて、馬体も充実しています。
 ナイキマドリードは、セイクリムズンを前に見て、内の4番手。いい位置を進んでいました。セイクリムズンには離されましたが、今回57キロで、よく走っていると思います。
 トーセンピングスは直線を向いても2番手で、最後は2頭に交わされましたが、今後は重賞でも勝ち負けになりそうです。


佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。