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第53回 2012年11月5日 白山大賞典~エーデルワイス賞

白山大賞典JpnⅢ

 ニホンピロアワーズは、さすがに名古屋グランプリと名古屋大賞典を勝ってきているだけのことはあります。4馬身差をつけた2着のナムラダイキチ、さらに3着のエーシンモアオバーより3キロ重い57キロでしたから、1頭だけ力が抜けていました。2100メートルの勝ちタイムが2分12秒9で、上り4ハロン49秒7、3ハロン37秒5というタイムも優秀です。
 金沢のナムラダイキチは、エーシンモアオバーと人気のニホンピロアワーズを前に見て、落ち着いていい位置からレースをしていました。向正面では、まさにこのタイミングというところで仕掛けていますが、やはりニホンピロアワーズを負かすつもりなら、自分から仕掛けていくことになります。前に並びかけたあと一旦3番手に下がりましたが、直線ではよく盛り返してきました。結果、2着に負けはしましたが、3着以下のJRA勢には差をつけていますから、メンバーの薄いダートグレードがあれば、いずれ勝つチャンスがあるのではないでしょうか。

東京盃JpnⅡ

 ラブミーチャンはダッシュ力がある上に、最近では控えて我慢する競馬ができるようになったことが、さらに強くなってきた要因でしょう。今回もジーエスライカーを行かせて3番手からでした。掛かることがないのも、この馬のいいところです。直線を向いても、まだ手ごたえ十分でした。残り200メートルのあたりでようやく追い出して、最後は後続を完全に振り切りました。体つきもだいぶ変わってきています。次(JBCスプリント)は川崎の1400メートルになりますが、このレースぶりなら200メートルの距離延長も問題ないでしょう。川崎では、枠順次第ではハナに行ってもいいかもしれません。
 内田博幸騎手のタイセイレジェンドも、ゴール前はよく伸びてきました。まだこれからが楽しみな馬です。
 セイクリムズンは、先行勢を前に見て、いい位置を進んでいます。今回は休み明けでしたが、ここを叩いてJBCスプリントではよくなってくるのではないでしょうか。川崎の1400メートルもこの馬には向いていると思います。JBCスプリントも、この上位3頭の争いになるのではないでしょうか。
 オオエライジンは、道中かなり砂をかぶっていました。7着でしたが、こうした厳しいレースをしていけば、いずれ慣れて力を発揮できるのではないでしょうか。

レディスプレリュード

 ミラクルレジェンドは、休み明けでも完勝という内容でした。クラーベセクレタが実力を出し切れなかったということもありますが、そうなるとこのメンバーではやはり力が抜けていました。
 プリンセスペスカはダッシュがよく、好位を追走して、直線では先頭に立ってよく粘りました。この馬も力があります。ダートの牝馬路線ではこれから期待できるかもしれません。
 クラーベセクレタは、どうしたんでしょう。プラス15キロの馬体重の影響があったかどうか。まだ仕上げきれてなかったのかもしれません。
 プレシャスジェムズは、すんなりとハナにいったので、もう少し粘るかと思いましたが、最近はあまりいいところがありません。

マイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠ

 エスポワールシチーは、さすがにこのメンバーでは負けられないというレースぶりでした。今年、春は休養させて、立て直してきたようです。アメリカ遠征などもありましたが、大事に休ませながら使われているので、7歳になっても一線級でも活躍しているのだと思います。
 ダイショウジェットは好位を追走して、エスポワールシチーには離されましたが、2着に粘りました。この馬も9歳でよく走っています。
 スーニは、向正面で進路が狭くなるような場面もありましたが、直線はまったくいいところがありませんでした。復調はもうちょっと先かもしれません。

エーデルワイス賞JpnⅢ

 ハニーパイは、前で3、4頭が競り合うところ、そのうしろを追走しました。もちろん馬の力もあったと思いますが、桑村騎手はペースを読んで、うまく乗りました。サウスヴィグラスの仔は、地方競馬での活躍が目立ちますね。
 ピッチシフターは、スタートはあまりよくありませんでしたが、3~4コーナーで内に入れて、直線ではよく伸びてきました。阿部龍騎手は、今年デビューで、教養センター時代から目立っていました。姿勢が崩れることなく、綺麗に乗ります。人気があまりなかったこともあると思いますが、落ち着いて乗っていたと思います。


佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。