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第52回 2012年10月5日 オーバルスプリント~日本テレビ盃

オーバルスプリント

 アースサウンドは、いいダッシュ力があります。それでも枠順がひとつ内のピエールタイガーがハイペースでレースを引っ張ったので、その2番手からになりました。枠順が逆だったら、おそらくアースサウンドがハナに行っていたでしょう。ただむしろペース的には2番手で正解だったと思います。ペースは速いですが、直線が短いこともあり、前をつかまえに行かないと逃げ切られてしまうので、早めにつかまえに行きました。さすがに最後は苦しくなりましたがよく粘りました。直線の短い浦和で、うまく乗ったと思います。
 トーセンアレスは、ゴール前で追ってきて、最後は交わしたかと思いましたが、クビの上げ下げでハナ差は残念でした。中団よりうしろからの追走で、張田騎手はうまく乗ったと思います。
 デュアルスウォードは、直線を向いて前が狭くなったところを立て直して、よく追ってきました。ゴール前伸びは、外のトーセンアレスより目立っていました。
 ピエールタイガーは、南関東同士ではマイル戦で連勝していましたが、アースサウンドに早めに並ばれてしまったので苦しくなりました。南関東同士なら、もう少し楽なレースで逃げ切れるはずです。

日本テレビ盃JpnⅡ

 ソリタリーキングは、休み明けでもスタート後、すぐにいい位置につけました。相手にも恵まれましたが、このメンバーでは力が違ったというレースぶりでした。JBCクラシックまでは間隔があるので、有力馬の1頭となりそうです。間隔をあけて大事に使われていて、将来的には兄のヴァーミリアンくらいにはなるのではないでしょうか。
 サイレントメロディーも、ソリタリーキングをマークする位置を追走して、最後はよく伸びてきました。この馬も将来が楽しみです。
 マグニフィカは、ランフォルセと併走するような感じで追走して、57キロでしたが、よく3着に粘りました。ただジャパンダートダービーを勝っていることを考えれば、本来ならこのくらい走ってもいいはずです。
 逃げたランフォルセは、それほど無理なペースではなかったと思いますが、3コーナー過ぎで手ごたえをなくして案外でした。ダイオライト記念で強いレースをしていただけに、今回は残念な結果でした。
 中央4頭とマグニフィカが人気どおり上位を占める結果で、どの馬にも不利がなく、騎手もみんなうまいですから、しっかり実力を発揮したレースだったと思います。


佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。