3連勝でいよいよ本格化
目指すはJBC兄弟制覇
Road to JBCの第1弾は、日本テレビ盃JpnII。いよいよここから本番を意識した争いが本格化する。
このJBCクラシックJpnIへ向けた路線では、一昨年、昨年と連覇を果たしたスマートファルコンが引退して種牡馬入り。出走してきたJRA勢は重賞1~2勝クラスで、JBCクラシック出走を確実にするには、ここを勝って優先出走権を獲得したいところ。一方の地方勢はフリオーソが休養中で、登録のあった有力馬の何頭かが1週前の東京記念にまわり、船橋のマグニフィカがJRA勢を含めてもメンバー中唯一のJpnI勝ち馬となった。
1番人気となったのは東海ステークスGIIを勝って以来の休み明けとなるソリタリーキングだが、ランフォルセ、サイレントメロディと、ダートグレード実績があるJRA勢3頭に人気が集中した。
ランフォルセが押して先頭に立ち、マグニフィカが併走するように2番手、ソリタリーキングは直後の3番手を追走。ダイショウジェット、サイレントメロディはそのうしろ、4~5番手を追走した。
3コーナーでランフォルセの手ごたえが怪しくなり、代わって先頭に立ったマグニフィカが直線でも粘っていたが、満を持して追い出されたソリタリーキングが抜け出して快勝。外から追ってきたサイレントメロディが3/4馬身差で2着に入り、マグニフィカは3着でJRA勢上位の一角に食い込んだ。
まずはそのマグニフィカについて触れておきたい。前々走の京成盃グランドマイラーズがジャパンダートダービーJpnI以来2年ぶりの勝利。そして今回が、やはりそれ以来のダートグレードでの馬券対象となった。京成盃は相手関係や56キロという斤量にも恵まれた感じの勝利だったが、今回はJRAの実績馬を相手に57キロでの結果だけに、今度こそ復調といっていいだろう。
それにしても、一度落ち込んだ馬をこうして立て直す川島正行調教師の手腕には感心させられるばかり。また、京成盃同様に逃げ馬をピタリとマークして競り落とすという的場騎手の騎乗ぶりも、マグニフィカを覚醒させた要因のひとつだろう。「斤量が重かったし、中央の馬はキレる脚があるから」とは的場騎手だが、相手関係や展開次第では、いずれダートグレードでも再びチャンスがあるのではないか。
そして勝ったソリタリーキングは、ダートのオープン、東海ステークスGIIから休みを挟んでこれで3連勝。「3番手につけて、1コーナーのところで、この位置につければだいたい大丈夫だと思った」というのが内田博幸騎手で、石坂正調教師も「目の前(1コーナー手前)に来たときは、これは勝ち負けだなと思った」という。鞍上にも調教師にもレースの序盤でそう思わせたのは、以前であれば走るのを嫌がる様子があったのが、この3連勝ではレース前からヤル気を感じさせ、馬が自信をもって走るように変わってきたからとのこと。
「ここを勝てばJBCに出られるので、それを目標にやってきました」と石坂調教師。いよいよ本格化したソリタリーキングには、07~09年にJBCクラシック3連覇を果たしたヴァーミリアンと兄弟制覇の期待がかかる。
内田博幸騎手
今日は楽に好位につけられたので、この春から馬がかなりよくなってきていると思いました。(4コーナー手前でも)手ごたえがあったので、相手を見ながら追っていきました。こういうレースができればこれからが楽しみです。怪我のあと、久しぶりに船橋で乗せてもらって、いい結果を出せてほっとしています。
石坂正調教師
休む前に勝った時と同じようにハミをとって走ってくれたので、だいぶ本格化したのかなと思います。心身ともに真剣に走れるようになったんでしょう。やっとお兄ちゃん(ヴァーミリアン)の足元くらいにはたどりつけましたね(笑)。ようやく良血開花、一言で言えばそういう感じですかね。
最後の直線でマグニフィカ(中央、赤の騎手服)が先頭に立つ
見せ場を作り3着に入ったマグニフィカ
表彰式には、今年JBCを開催する川崎のカツマルくん(一番右)も登場
取材・文:斎藤修
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)、NAR
写真:三戸森弘康(いちかんぽ)、NAR