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第55回 2013年1月7日 クイーン賞~東京大賞典

クイーン賞JpnⅢ

 レッドクラウディアはダッシュ力があります。最初に少し追っただけで、競りかけてくる馬もいなく、すぐにペースも落ち着いて、楽に単独で先頭に立ちました。テンに楽をしているので、直線まで手ごたえがありました。
 クラーベセクレタは5番手あたりを追走して、4コーナーではレッドクラウディアに並びかけるような勢いでしたが、直線では逆に突き放されてしまいました。斤量差もありましたが、今回は(レッドクラウディアの)内田騎手にうまく乗られてしまいました。
 アドマイヤインディは後方からの追走でしたが、うまく内を回って位置取りを上げて、最後はよく伸びました。宮川騎手はうまく乗ってきました。3着争いは接戦でしたから、もし外を回っていれば5着か6着くらいだったかもしれません。
 ホエールキャプチャはずっと追い通しで、向正面あたりから反応がありませんでした。初めてのダートが合わなかったのかもしれません。

全日本2歳優駿JpnⅠ

 アメイジアはスタートで外に飛んで行くような感じで、落馬してしまいました。
 勝ったサマリーズはスピードがあります。ほとんど仕掛けることなく先頭に立ちました。4コーナー手前から空馬が寄ってきて、ちょっと危ない場面もありましたが、事故にならなくてよかったです。それがなければもっと楽に勝っていたかもしれません。ペースはそれほど速くは見えませんでしたが、1分41秒台は優秀なタイムです。先々が楽しみな馬です。
 ジェネラルグラントは好位の内3番手、絶好位を進んで、最後はよく伸びて2着でした。転入初戦でしたが、これからまだよくなってくるでしょう。
 アップトゥデイトは3コーナーで単独2番手に上りましたが、外から空馬が来た影響もあったでしょうか。コーナーでの反応もあまりよくなく、勝ち馬に離されてしまいました。
 アウトジェネラルは最後方追走でしたが、最後は2着と接戦の4着まで伸びてきました。終いのキレはいいものがあります。3歳になってからも楽しみです。
 ハイセイコー記念を勝ったソルテは、今回はいいところがなく7着でした。左回りが初めてだった影響があったかもしれません。
 北海道2歳優駿を勝って2連勝だったアルムダプタはもう少し走るかと思いましたが、いいところがありませんでした。

名古屋グランプリJpnⅡ

 エーシンモアオバーはダッシュ力があります。スローペースになりましたが、逃げ馬のわりには掛からずに折り合いがついています。これまでに2000メートル以上の長い距離を使ってきた経験もあったでしょう。今回は有力馬が東京大賞典などに行ってしまったこともあって、この馬にとっては楽な相手になりました。4コーナーからはクラシカルノヴァに迫られて叩き合いになり、最後は半馬身差でしたが余裕がありました。長距離のレースはどうしてもペースが遅くなるので、折り合いのつく馬が強いです。
 クラシカルノヴァは、スタート後の直線で前の馬につまづいたような場面がありました。それでもすぐに立て直してうまく乗ってきました。
 ナムラダイキチは中団からになりましたが、それほど悪い位置取りではありません。折り合いもついて、うまく乗っています。ただペースが上がったところでついていけませんでした。
 ジャパンダートダービーで2着だったトリップは、もう少し走るかと思いましたが離された5着でした。ペースが遅くて完全に掛かってしまいました。それで仕方なく先頭に立ったのでしょう。追い出されてからまったく伸びませんでした。
 キングスエンブレムはスタート直後から掛かっていました。ブリンカーをしていたのでよけいに掛かったのかもしれません。道中も馬群の中で完全に掛かってしまい、これではレースになりません。

兵庫ゴールドトロフィーJpnⅢ

 ティアップワイルドは、スタートダッシュが他馬とは違いました。それですぐにマイペースに持ち込み、58.5キロでも強いレースをしました。ワイルドラッシュの産駒はダートで走る馬を出しますね。中央からは、次から次へと強い馬が出てきます。
 ダイショウジェットも今回57.5キロで、最後はよく伸びてきました。
 オオエライジンは、斤量差があったこともあり、勝ち負けかと期待しましたが3着でした。ちょっと頭が高いところが気になります。浅いブリンカーをしてみるといいのかもしれません。JBCスプリントでは内から上がっていって好位にとりつく場面があったので、今回あたりはよくなるかと思ったのですが、3着は残念でした。
 セイクリムズンは、JBCスプリントのあとにも中央で1戦して、使いづめの面があったのではないでしょうか。好位を追走していましたが、勝負どころで伸びてきませんでした。いい時であれば、あそこで一気に行ってしまったと思います。
 スーニは59.5キロで昨年も勝っていますが、やはりこの重量は厳しかったのではないでしょうか。

東京大賞典GⅠ

 ローマンレジェンドは、行く馬を行かせて、外めの絶好位を取りました。直線ではワンダーアキュートに並ばれて、相手に出られるようなところもありましたが、最後はよく伸びました。外目を通って、岩田騎手は理想的なレースができたのではないでしょうか。
 ハタノヴァンクールは内田騎手がうまく乗りました。内から早め早めに行って、向正面ではローマンレジェンドより前に行きました。4コーナーで最内を回ってきたのもよかったと思います。ゴール前では一瞬の脚を使ってよく伸びました。これからまだよくなると思います。
 ワンダーアキュートは、スタートはよかったのですが、1周目のゴール前あたりで外からローマンレジェンドにスッと行かれてしまいました。前にはナムラタイタンがいて、位置取りを下げてしまいました。あそこで外に持ち出せていれば、結果は違っていたかもしれません。馬格のある馬なので、内に包まれてしまっては厳しいように思います。外枠からゆっくり行けたらよかったのですが。向正面でも前にも外にも馬がいて、行き場をなくすようなところがありました。ようやく外に出したのが3コーナーを過ぎてからで、すでにローマンレジェンドとは差がついていました。それでも直線では完全に並びかけましたから、やはり力はあります。
 エスポワールシチーはスタートでつまづいてしまったのが残念でした。互角のスタートで2番手あたりに行けば、もう少しいいレースをしたかもしれません。
 引退するフリオーソは、逃げて自分のレースはしました。


佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。