レースハイライト タイトル
dirt
2012年12月5日(水) 船橋競馬場 1800m

休み明けも急成長を見せた3歳馬
マイペースの逃げで4馬身差完勝

 今年で58回目を迎えた伝統の一戦クイーン賞JpnⅢ。97年からダートグレードレース、06年からはハンデ戦と様変わりはしてきたが、中央・地方ともに旬の女王たちが勝ち馬として名を連ねている歴史のあるレースだ。
 「石坂先生のソリタリーキングで日本テレビ盃は勝たせてもらいましたが、今度はレッドクラウディアでまた船橋競馬場の重賞を勝てたことがうれしいです」と、南関東で一時代を築いた内田博幸騎手は満面の笑み。今では中央に移籍し大活躍中の内田騎手が手綱を取った6番人気レッドクラウディアが、堂々たる逃げのパフォーマンスで今年のクイーン賞JpnⅢを制した。
 最内枠だったので積極的な競馬を思い描いていたそうで、今回は約5カ月の休み明けでリフレッシュされていたこともあり、前走のスパーキングレディーカップJpnⅢ(4着)よりもスピードの乗り方は良かったそうだ。「ハナに行けるとは思っていなかったんですが、スタートが良かったし、わざわざ下げる必要もないと」(内田騎手)。
 終始マイペースに進めていけたそうで、3~4コーナーではクラーベセクレタをはじめ他馬もレッドクラウディアに並びかけようとするが、その差は縮まらない。「(他馬がきたら)ハミを力強く取ってくれたので、直線もいい感じでいけると思っていました。今の船橋は内が有利だからそこを走れたのも良かったですが、まさかこんなに着差がつくとは……」(内田騎手)。終わってみれば2着のクラーベセクレタに4馬身差をつける完勝で、予想以上の強さだったようだ。
 レッドクラウディアは、これで念願の重賞タイトルを獲り、次走はTCK女王盃JpnⅢを予定。まだ3歳、明けて4歳。たくさんの可能性を秘めている。
 そして高知の宮川実騎手が騎乗した12番人気アドマイヤインディが3着に入って大いにわかせた。道中は後方から構えるも徐々に進出していき、最後は内からスルスルと上がっていった。「ビックリしましたね。いい感じでいけましたが、アレヨアレヨで、前を見たら2頭しかいませんでした。スピードのある馬なので地元では先行していたんですが、こうやって差す競馬もできますね。これからが楽しみです」(宮川騎手)。

 中央時代は2勝、高知に転厩後は7戦6勝、3着1回という成績を収めてきた。今回は51キロという斤量も味方をしてくれたが、初物尽くしの中でもこうして結果を出したのは収穫だっただろう。高知競馬にとっては明るい話題だ。
 来年はJBCが金沢競馬場での開催となり、JBCレディスクラシックが新たにJpnⅠに格付けされたことは、すでに報じられているとおり。地方競馬の牝馬路線はグランダム・ジャパンのシリーズが定着し、次は国内牝馬ダート重賞初のJpnⅠという歴史的瞬間が待っている。今後も牝馬路線で熱戦が展開されていくのは間違いないだろう。アンテナを巡らしながら各馬の動向を注視していきたい。
内田博幸騎手
うまくゲートを出てスピードにのってしまえばいいんですが、生き物なのでそうでないときもありますからね。今日はスピードにのって落ち着いて走っていました。ハナは切りましたが注文がつかない馬なので、2番手でも3番手でも4番手でも競馬ができます。まだ3歳でこれからの馬だし、楽しみですね。
石坂正調教師
(プラス9キロでしたが)心身ともに成長しているので、もっと増えているかとも思っていたんですが、これだけ走ってくれたのでいい仕上がりだったんでしょう。装鞍所でもおとなしくてゲートの中でもジッとしていて成長を感じました。折り合いもついていたし最後まで手応え良く頑張ってくれましたね。


取材・文:高橋華代子
写真:川村章子(いちかんぽ)、NAR