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第18回 2013年3月8日(金) カレーラーメン(帯広競馬場)

帯広競馬場
カレーラーメン(650円)

 ラーメン店で「カレーラーメン」の文字をみつけたら注文してしまう、というのが私の性分。その魅惑のメニューの発祥地は北海道の苫小牧市とも言われているらしい。
カウンター上のメニュー表
 これまで紹介してきた「カレーラーメン」はいずれも本州のものだったが、北海道の競馬場にもそのメニューは存在する。場所は発祥地と言われているところから山脈を越えた、帯広競馬場のスタンド1階中央部。そこには「昭和49年からの伝統の味 元祖カレーラーメン」というメニュー札がさりげなく掲示されている。
 元祖ですよ、元祖。しかもすでに40年近い歴史が刻まれている。同じラーメンでも、いわゆる味の三巨頭であるみそ、しょうゆ、しおとは違うものだから、カレーラーメンは売れ行きがイマイチならば退場の憂き目に遭う運命にある。しかしそれが残念なことにならずに生き永らえているのだから、カレーラーメンはある程度の市民権を得ていることが、ここに証明されているのではなかろうか。
 と、力説したはいいけれど、世間一般的には、とんこつを加えた味の四天王にはまだまだ遠く及ばない。それでも寒さ厳しい北海道の冬に、香辛料で体を暖められるというのは理にかなっていることではないか。
 と、いう想いをいだきつつ食券機でチケット購入。通路をはさんで反対側のカウンターに提出する。以前は客席がないのが難点だったが、今は店の横にテーブルとイスが20人分ほど確保されている。そこに専門紙と荷物を置いてしばらく待つと、「カレーラーメンのお客様~」という声が聞こえてきた。
カレーラーメン
 さっそく受け取って写真を撮影。見た目はしょうゆラーメンの上にカレーを乗っけてネギと海苔を載せた、というとてもシンプルな雰囲気だ。まずは全体を混ぜずにレンゲ一杯のスープを飲む。カレーに含まれる適度な油分と、そのままでもおいしいラーメンスープが合成された味はさすがの好相性。そのまま混ぜずに麺もいただいてみよう。
 うーん、でもこれはあれこれ細かいことを考えずに、ガッツリ行くべきものなのだろうなあ。「カレーライスは飲み物」という人もいるくらいだし、ラーメンだって素早く食べられるのが長所のひとつなのだから。
献立表のほかにもメニューは多彩
 ということで、あとは完食まで一目散。ばんえい競馬はレースとレースの間がおよそ30分で、パドックも平地競馬と違ってすぐに終わる代わりに、本馬場入場から投票締め切りまでの間が長い。私が注文したのは、まさに本馬場入場が始まったとき。そして食べ終わってから締め切りまで、時間が余裕たっぷり残っていた。ともにかっ込めるメニューであるカレーとラーメン。この融合はある意味、競馬場メシとして最強の組み合わせだったりして。

文・写真●浅野靖典

浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。


※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。