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第15回 2012年12月10日(月) 今川焼き(船橋競馬場)

船橋競馬場
「菊屋」 今川焼き(100円)

『脳のエネルギーになれるのは、ブドウ糖だけ』
『脳にすばやくエネルギーを送る砂糖』
 「砂糖を科学する会」という団体が発行している冊子には、こんなフレーズが載っている。そういえば私も会社員時代、デスクワークで煮詰まったときはコーラを飲んで気合を入れ直していたし、集中力を要するときは合間をみつけて小さいようかんを食べていた。
 競馬の予想もまた、脳を普段以上に働かせる行為。パドックの気配をチェックするのに感性を使い、新聞のデータを読み解くのに頭を使い、過去のレース内容を思い出すのに側頭葉から記憶を取り出す。その結果が的中ならば、ドーパミンがあふれてきて脳の疲れなどは吹っ飛ぶのだけれど、ハズレ続きならその反動は積み重なる。残念ながら現実的には後者のほうが圧倒的に多いわけで……(涙)。
 なのに、各地の競馬場には甘いものが少ない。パッと思い浮かんだのは、船橋、川崎、佐賀の今川焼き、高知のアイスクリンあたりかなあ。うーむ、なんでなんだろう?
 というわけで、今川焼きを売っている船橋競馬場の売店で、そのあたりを聞いてみることにした。けっこう売れるものなんですか?
「お客さんの入りにもよるけれど、1日で100個を下回ることはないわねえ」
 ほらね、ちゃんと需要はあるんじゃない。船橋競馬場の「菊屋」でその味を産み出しているのは、銅板の型がきれいな専用の焼き器。焼きたての温かさも魅力のひとつだから、冬になるとさらに売れ行きがよくなりそうだ。
「でも商売と考えると、単価が安いからどうなのかしらねえ。ウチはもう相当長くやっていますけれど」
 確かにそれなりの設備投資が必要で、さらに作るのには多少の手間がかかる。でもこの厚み、そして粒あんから伝わってくる甘み。競馬場の必須アイテムといってもいいと思うくらいなんだけどなあ。
 でもひとつ注意点が。この店では今川焼きが売れ残ってしまわないようにと、メインレース前には焼くのをおしまいにしているそうだ。というわけで、午前中に1個食べて、最終レース前にもう1個食べようと思っていた私は肩透かし。次に船橋競馬場に行くときには、そのあたりも計算に入れておかなくちゃ。


文・写真●浅野靖典

浅野靖典(あさのやすのり)
競馬キャスター・ライターとして活動中。「クリック!地方競馬」キャスターを務めているほか、JRAブリーズアップセール、八戸、九州の各競走馬市場にて司会進行を担当。ライターとしては、
・競馬総合チャンネル(netkeiba.com)
・POGの達人
・JRAホームページ
・週刊プレイボーイ
・WEBハロン
などに寄稿している。


※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。