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第49回 2012年7月5日 関東オークス~帝王賞

関東オークスJpnⅡ

 スタート後、リカチャンスとエイシンキンチェムが競り合って、さらにサトノジョリーも勢いをつけて先団にとりついたので、ペースが速くなりました。
 そうした速い流れで、アスカリーブルはスタートがよかったにもかかわらず、控えて中団から、今野騎手は落ち着いて乗っていました。終いの脚が切れるので、自信を持っていたのでしょう。ペースを読んで、うまく乗ったと思います。ゆったり流れる長い距離が合っているということもありますが、馬も強くなりました。
 サトノジョリーはスタートがあまりよくなかったにもかかわらず、ちょっと仕掛けたら3~4コーナーで勢いがついて一気に2番手まで行ってしまいました。ペースが落ち着く1周目のスタンド前までじっとしていたほうがよかったと思います。2周目の3~4コーナーで一気に先頭に立ちましたが、逃げたリカチャンスがバテたにしても、ちょっと先頭に立つのが早かったですね。小回りなので早めに行ったのかもしれませんが、4コーナーあたりか、直線を向くまで追い出しを我慢していれば、もしかしたら勝っていたかもしれません。ただ力があることは確かです。
 シラヤマヒメは早めに好位の競馬で、最後は2頭には離されましたが、よく3着に粘りました。
 1番人気のオールドパサデナはどうしたのでしょう。まったくいいところがありませんでした。

北海道スプリントカップJpnⅢ

 セレスハントは互角のスタートでしたが、他の中央馬を見ながら下げて行きました。向正面では外めを通っていましたが、3コーナーから一気に内に入れて行きました。これはいい判断でした。4コーナーから直線では、バテて下がってくる馬もいましたが、うまくさばいてそのまま内から抜けてきました。岩田騎手の好騎乗です。岩田騎手は、今年は重賞での活躍が目立ちますね。
 セレスハントが4コーナーで内ぴったりを回ったのに対して、その前にいたタイセイレジェンド、トウショウカズンは、外を回りました。特に短距離では、このコース取りの差は大きかったと思います。
 サマーウインドは好ダッシュから3コーナーで早めに先頭に立って、いいところがあるかと思って見ていたのですが、最後は粘れませんでした。59キロの斤量もあったでしょうが、まだ本来の調子ではないのかもしれません。

帝王賞JpnⅠ

 ゴルトブリッツはスタートがいいですね。ダッシュ力なら一番ではないでしょうか。それでも抑えてエスポワールシチーの直後、3番手につけて行きました。直線で少し内に刺さる仕草を見せましたが、エスポワールシチーを交わしにかかってから、終いの脚がすごかったですね。最後の100メートルだけで突き放して、それにしても強いレースをしました。秋にはスマートファルコンやトランセンドと対戦することになると思いますが、いい勝負をするのではないでしょうか。
 エスポワールシチーは外枠から押して行きましたが、内でランフォルセもハナに行く気を見せていたので、2番手からになりました。佐藤哲三騎手は自信を持って乗っていたと思いますが、今回は相手が強かったです。
 ミラクルレジェンドは、牝馬同士ならナンバー1ですが、牡馬とのこのメンバーに入ると、やはりちょっと厳しいです。
 トーセンルーチェもある程度いい勝負をするかと思っていたのですが、このタイム(2分3秒0)で、4ハロンを50秒切る上り(48秒9)では、厳しかったです。
 オオエライジンはダートグレードでも好走していましたが、今回は相手が強かったようです。こういうレースで揉まれていけば、力をつけてくるのではないでしょうか。


佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。