グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
若草賞 3/19(月) 福山 1,800m 北陸・東海・
近畿・中四国
桜花賞 3/21(水) 浦和 1,600m 南関東
ル・プランタン賞 4/13(金) 佐賀 1,800m 九州
留守杯日高賞 4/30(振・月) 水沢 1,600m 東北
東海クイーンカップ 5/1(火) 名古屋 1,600m 北陸・東海・
近畿・中四国
東京プリンセス賞 5/10(木) 大井 1,800m 南関東
のじぎく賞 5/17(木) 園田 1,700m 北陸・東海・
近畿・中四国
関東オークス JpnⅡ 6/13(水) 川崎 2,100m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で3年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2012(グランダム・ジャパン2012)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

自慢の末脚で中央勢を一蹴
南関東牝馬二冠に輝く

 南関東牝馬クラシック三冠目の関東オークスJpnⅡはダートグレードレースとして実施されているが、中央勢の高い壁を超えることの難しさを毎年のように突きつけられてきた。しかし、今年その牙城を崩したのは、今野忠成騎手が手綱を取った3番人気アスカリーブル(船橋・川島正行厩舎)。地方勢にとっては6年ぶりの快挙で、東京プリンセス賞に続く南関東牝馬クラシック二冠を達成した。
 「レース前に川島先生から『流れが速くなるかもしれないからじっくり脚をためていけば切れると思うし、この馬のいいところを出してくれ』と言われたので、思った通りの競馬ができました」と今野騎手は振り返っていたが、抜群のレースセンスを誇り、最後に必ず伸びてくる末脚はこの馬の身上だ。
 砂をかぶるのが苦手なリカチャンスが1枠1番から徹底的にハナを主張し、サトノジョリー、エイシンキンチェムといった中央の人気馬たちが先団を形成していく中で、アスカリーブルは中団付近の内目から構えていった。以前は砂をかぶって渋さを見せる面もあったようだが、「不良馬場のほうが馬は砂をかぶっても気にしないもの。前回はかぶってもハミ取りが良くて大丈夫だったから、今日はそれも自信になっていました」(今野騎手)
 勝負どころの3~4コーナーでは持ち前の根性で狭いところを抜けて外に持ち出すと、気合をつけられながら一気に進出。「流れが速かったから前に行く馬がバテてくれないかなぁと思っていましたが、この馬の反応も良かったです」と今野騎手。直線では外から豪快に伸びてメンバー中一番の末脚(39秒0)を繰り出し、前で粘っていたサトノジョリーに1馬身半差をつけてゴールした。3着には好位から抜け出した大井のシラヤマヒメが入り、地方勢の健闘が光った。
 遡ることちょうど1年前。アスカリーブルは兵庫の新鋭・田村彰啓厩舎からデビューし、無敗のまま園田プリンセスカップを優勝。その後の南関東での活躍は皆さんもご存じのことだろう。坂本敏浩オーナーは初めて持った馬がこのアスカリーブルだという。「こんなに足が震えたのは初めてです。まだ信じられません。泥んこになってよく頑張ってくれました」と愛馬を労っていた。
 普段はそれほど派手さは見せないが、レースでは抜群のセンスと末脚、勝負根性を発揮する実践型。「うちにはクラーベセクレタもいるんですが、匹敵するような馬になって欲しいと思います」と川島調教師。この牝馬二冠の強さがあまりにも抜けているだけに、いろんな夢を描きたくなってくる。
 なお、グランダム・ジャパン3歳シーズンがこれで終了。チャンピオンに輝いたのは、3戦に出走してル・プランタン賞を制し、ほかに2着2回と安定した成績を収めたメイレディ(兵庫・保利良次厩舎)。2位はアスカリーブル、3位はマーメイドジャンプ(笠松・後藤保厩舎)だった。グランダム・ジャパン古馬シーズンは7月4日のスパーキングレディーカップJpnⅢ(川崎)から始まる。
今野忠成騎手
調教ではヤンチャなところがあるそうですが、返し馬では癖もないので前回と変わらずいつも通りでした。とても乗りやすいしどんな競馬でもできます。短い距離はちょっと忙しいかなぁと思いますが、長い距離は合いますね(ゴール後のガッツポーズは)『どうだ、見たか!』って感じでうれしかったです(笑)。
川島正行調教師
順調に調整もできて、掛かっていくようなところがあるから疲れを残さないように気をつけてきました。地方の馬がなかなか勝てなかったからうれしいし、いいレースを見せてくれたと思います。今後についてはまだ決めていませんが、いつでも出走態勢を整えられるように厩舎で調整していければと思っています。


取材・文:高橋華代子
写真:川村章子(いちかんぽ)