描いたとおりのレース運び
直線人気馬をとらえ突き放す

　南関東3歳牝馬の二冠目であり、グランダム・ジャパン3歳シーズンの第6戦として行われた東京プリンセス賞。前日、雨の中で行われた羽田盃は稍重だったが、この日は午後にゲリラ的な豪雨があって不良馬場。それでも夕方までに雨が上がったのは幸いだった。
　一冠目の浦和・桜花賞から上位4頭を含む7頭が出走。その桜花賞では1番人気に支持されたものの、スタートで出遅れと敗因がはっきりしているエンジェルツイートがここでも1番人気。デビューから3連勝中で、これが重賞初挑戦となる新興勢力のコウヨウタレイアが2番人気となった。
　注目はハナ争い。9番枠からのスタートで互角に出たエンジェルツイートは、やはり二の脚の速さは抜群で、ついてこられる馬はいない。一方、桜花賞を逃げ切って今回も逃げ宣言のコテキタイは、さすがに15番枠からのスタートで3番手からとなった。
　緩みのないペースで逃げたエンジェルツイートは、3～4コーナーでも手ごたえ十分のまま、2番手のアイキャンデイ、3番手のコテキタイとの差を徐々に広げた。そこに、道中縦長の7番手から抜群の手ごたえでまくってきたのがアスカリーブルだった。直線を向いてエンジェルツイートをとらえると、徐々に差を広げて完勝。3馬身半差でエンジェルツイートが2着に粘り、12番人気の伏兵レディーソルジャーが迫ったが半馬身差で3着だった。
　南関東の3歳線戦では例年ホッカイドウ競馬出身馬の活躍が目立ち、今回も2～6着を占めたが、勝ったアスカリーブルは兵庫デビューという異色といってもいい存在。園田ではデビューから4連勝で重賞・園田プリンセスカップを制し、その後大井を経由して船橋・川島正行厩舎に移籍。その川島調教師は、「昨日の羽田盃（の勝ちタイム）が1分52秒9だから、53秒ちょっとの決着になるんじゃないか。向正面で外に持ちだして……」と今野忠成騎手に伝えていた。そして1分53秒5という決着は、描いていた展開がピタリとはまる会心の勝利となった。次走は、東京ダービーか、関東オークスJpnIIか、相手関係を見た上で決めるとのこと。鞍上の今野騎手は、前日の羽田盃（アートサハラ）から2日連続での重賞勝利に「びっくりしています」と、笑いが止まらない様子だった。
　2着に敗れたエンジェルツイートは、「ペースは速かったけど、それがこの馬のペース。ちょっと距離が長かったかな」と森泰斗騎手。このあとは牧場で休養し、秋にはマイル以下の路線を目指すことになるようだ。
　南関東限定戦でもあり、グランダム・ジャパンのシリーズとしては印象の薄いレースとなったが、それでも勝ったアスカリーブルが関東オークスJpnIIも勝つようなことがあれば、第7戦のじぎく賞の結果次第では優勝の可能性も残されている。また桜花賞を制したコテキタイも、4着に好走したことで上位入賞のチャンスはある。