浅野靖典の全国馬美味(ウマウマ)行脚」地方競馬にまつわる「ウマいもの」を毎月ご紹介!
“鉄人”佐々木竹見の見解」佐々木竹見元騎手がダートグレード各競走を“鉄人”の目線で鋭く解説!
高橋華代子の(続)気になるあの馬は…」引退後や転厩した名馬の近況を愛あふれる文章でご紹介!
REWIND 90's」当時の写真や映像を交えて90年代の名勝負を振り返ります!

第50回 2012年8月3日 スパーキングレディーカップ~マーキュリーカップ

スパーキングレディーカップJpnⅢ

 スティールパスは、スタートしてまったく仕掛けずに好位につけました。スペースを見て、外に持ち出すタイミングをうかがっていたのかもしれません。道中はクラーベセクレタをマークする位置を進みました。直線、クラーベセクレタと競り合って負かしましたから、重賞初出走でしたが、強いですね。蛯名騎手はかなり自信を持って乗っているようでした。秋はJBCレディスクラシックに出てくるようなら、またいい勝負になるのではないでしょうか。
 クラーベセクレタは、3番手の絶好位を追走していました。好位から直線を向いて先頭に立つという、戸崎騎手はこれ以上ないという乗り方をしましたが、今回は相手がそれ以上に強いレースをしました。
 ミラクルレジェンドは、4コーナーで岩田騎手が内にこだわって行き場がなくなる場面がありました。あそこで外に持ちだしていたらどうだったでしょう。ただ帝王賞から連闘の影響もあったかもしれません。ここ一本を目標にくれば、もっと勝負になったと思います。このあと少し休んで、また秋に出てくれば、スティールパスやクラーベセクレタとの対戦が楽しみです。
 プレシャスジェムズは今回も先行して、ペースがそれほど速かったというわけでもないので、もう少し粘るかと思いましたが、まったく粘れませんでした。休み明けの影響もあったのかもしれません。

ジャパンダートダービーJpnⅠ

 このレースは、ペースが遅くなった向正面から3コーナー手前で、アートサハラの今野騎手が一気に動いたところがポイントになりました。今野騎手の好判断だったと思います。直線では、オースミイチバンやホッコータルマエに交わされそうなところを、よく3着に粘ったと思います。
 勝ったハタノヴァンクールは、スタート後は最後方で、1コーナーを回るあたりでも前とは差のある位置取りでした。先に仕掛けたアートサハラを追っていく形で、結局上がり勝負の競馬になりましたが、3ハロン36秒0の脚を使われては、地方馬にはちょっと勝負になりません。道中はずっと追い通しで、それで最後に伸びるんですから、スタミナも相当なものがあるのではないでしょうか。
 トリップは、アートサハラが仕掛けてきても先頭は譲らず、直線で単独先頭に立ちました。アートサハラがあのタイミングで仕掛けてこなければ、この馬が勝っていたか、もっときわどい勝負だったかもしれません。今回が初めてのダートでしたが、ダートでもかなり走りそうです。

マーキュリーカップJpnⅢ

 シビルウォーは、しばらく勝てませんでしたが、今回は先頭からそれほど離されず、好意からの追走でした。3コーナー過ぎで早めに先頭に立って、こういう展開になれば強いレースをします。帝王賞でもエスポワールシチーやテスタマッタと接戦の4着でしたから、このメンバーに入ればさすがに力が違いました。
 グランドシチーは中団よりうしろからの追走でしたが、3コーナー手前から早めに仕掛けていきました。ただ今回はシビルウォーも早めの競馬で、実績的にも力の差がありました。
 ダイオライト記念で惜しい2着があったピイラニハイウェイは、この距離ならもう少しいい勝負をするかと思いましたが、今回は見せ場がありませんでした。


佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。