レースハイライト タイトル
dirt
2012年7月16日(祝・月) 盛岡競馬場 2000m

3コーナー早め先頭で押し切る
得意の季節にレコードで圧勝

 JRA、地方、そして岩手の選抜騎手によるジョッキーズチームマッチで盛り上がるなか行われたマーキュリーカップJpnIIIには、秋のダートGI・JpnI戦線に向けて実績を積み重ねておきたいJRAの面々が遠征。対する地方勢は、岩手ダービーダイヤモンドカップを勝って勢いのある3歳馬アスペクト、そしてみちのく大賞典を制した古馬の実力馬トーホクキングら、地元勢が迎え討つ格好となった。
1 周目スタンド前 各馬それぞれの位置へ
 前日から雨が降ったり止んだりという天候で、発走直前にもやや強い雨もあって不良馬場で迎えた注目の一戦。地元の快速馬アスペクトが先頭に立ってペースを握り、高知のナムラハンターが2番手、JRAの有力馬たちはそのうしろに続いた。
 中団よりうしろを追走していた単勝2番人気のグランドシチーが3コーナー手前で仕掛けてレースが一気に動いた。これを前に行かせまいと、好位につけていたシビルウォーが一気に先頭へ。直線ではそのまま後続を寄せつけず、グランドシチーに4馬身差をつける完勝で、1番人気にこたえた鞍上の岩田康誠騎手はガッツポーズでのゴール。スピードの出やすい馬場でコースレコードでの決着となった。さらに8馬身離れた3着にフリソが入り、地方勢ではトーホクキングがようやく5着を確保した。
 昨年、ブリーダーズゴールドカップJpnIIと白山大賞典JpnIIIで圧巻のレースを見せたシビルウォーだが、今回、岩田騎手に乗替って、久々に強いレースを見せた。
 そのレースぶりについて、管理する戸田博文調教師は2つの勝因を挙げた。
 まずひとつは、暖かくなって調子を上げてきたこと。冬場は強めに追ってもなかなか馬体が絞れないものの、夏はそれほど強い稽古をしなくても汗をかいて馬体が絞れるのだそうだ。たしかにオープンに昇格して以降では、冬場は馬体重が470キロ台のことが多いが、勝ち星はいずれも夏から秋にかけてで、そのときの馬体重は460キロ台だ。
 もうひとつは、地方のゆったりした流れが合っていること。「今回、時計は速かったですが、1コーナーまではそれほど速くはなかったと思うんです。だからあのポジションがとれたんだと思います。あの位置をとってくれれば、終いにしっかり伸びてくれるのはわかっていますからね」と、戸田調教師。
 次走には、連覇のかかるブリーダーズゴールドカップJpnIIを予定しているという。これからしばらくはシビルウォーの季節。陣営にとっては、その勢いを秋のダートGI・JpnI戦線へとつなげたいところだろう。
 なお、中央でも地方でも重賞戦線で大活躍の岩田康誠騎手は、日本ダービー馬ディープブリランテでキングジョージVI世&クイーンエリザベスS制覇へ向け、翌日にイギリスへ向け旅立った。
岩田康誠騎手
外枠だったので流れに逆らわず、どこからでも行けるというつもりで乗っていました。一線級が相手だと後ろからになるんですけど、今回はメンバー的に負けるわけにはいかないと思っていました。前走(帝王賞)は4着で、そいういう強い走りができるのはわかっていたので、結果が出せてよかったです。
戸田博文調教師
休み明けのダイオライト記念だけはちょっと不甲斐ない競馬でしたけど、そのあとは暖かくなるにつれて調子を上げてきて、(帝王賞から)間隔も詰まっていたので、ほとんど調整程度でいい競馬ができました。このままの調子で門別(ブリーダーズゴールドカップ)に行ければと思います。

この日はチーム対抗戦のジョッキーズチームマッチも行われた

取材・文:斎藤修
写真:森澤志津雄(いちかんぽ)