グランダム・ジャパン タイトル
レース名 実施日 競馬場 距離 地区
スパーキングレディーカップJpnⅢ 7/4(水) 川崎 1,600m 南関東
読売レディス杯 7/17(火) 金沢 1,500m 北陸・東海・
近畿・中四国
ノースクイーンカップ 7/26(木) 門別 1,800m 北海道
兵庫サマークイーン賞 8/2(木) 姫路 1,800m 北陸・東海・
近畿・中四国
ビューチフル・ドリーマーカップ 9/3(月) 水沢 1,900m 東北
秋桜賞 9/6(木) 名古屋 1,800m 北陸・東海・
近畿・中四国
レディスプレリュード 10/4(木) 大井 1,800m 南関東
 地方競馬では、牝馬競走の振興と牝馬の入厩促進を図るため、今年で3年目となる 世代別牝馬重賞シリーズ 「GRANDAME-JAPAN2012(グランダム・ジャパン2012)」を実施します。

 全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与されます。地方競馬の優れた牝馬の活躍の舞台を広げるとともに、交流を促進して魅力ある牝馬競走の実施を目指します。

追い比べで実力馬をねじ伏せる
JBCのタイトル奪取に名乗り

 夏の女王を決める戦い、グランダム・ジャパン2012古馬シーズンの開幕戦ともなった第16回スパーキングレディーカップJpnⅢが、満月の夜空の下で行われた。
 人気は2頭に集中した。昨年のJBCレディスクラシックの覇者ミラクルレジェンドと、昨年の南関東二冠馬で4歳にして重賞10勝を手にしているクラーベセクレタだ。注目されたのは、ミラクルレジェンドが帝王賞JpnⅠ(5着)からの連闘だったこと。決して楽な流れではなかったJpnⅠの直後ということで、状態が気になるところ。一方、クラーベセクレタはしらさぎ賞(4月25日・浦和)を完勝した後、このレースを照準にじっくり調整されてきた。実力か、順調さかという判断は、最終的にはミラクルレジェンドが単勝オッズ1.8倍、クラーベセクレタが2.0倍と、前者に軍配が上がった。
 しかし、この2強に待ったをかけた馬がいた。重賞初挑戦のスティールパスだ。
 笠松の快速馬エーシンクールディが出走取消となり注目された先行争いは、スタート後の直線で各馬が牽制し合い、結局、大外枠のプレシャスジェムズが1~2コーナーで先手を取り切った。単独の2番手にリカチャンス、クラーベセクレタが外目3番手に位置取り、その直後にスティールパス、それらを伺う形でミラクルレジェンドが続いた。
 3コーナー手前で各馬の差が一気に縮まり、騎手達の手が動き始める。そして直線入口でクラーベセクレタが先行馬をかわし先頭に立つと、3~4コーナー大外を回って上がってきたスティールパスがその外から並びかけ2頭の追い比べとなった。クラーベセクレタも必死に粘ったが、メンバー中一番の上りタイムを記録したスティールパスの末脚が勝り、半馬身の差をつけて先頭でゴールイン。ミラクルレジェンドは内に進路を取り前に迫ったが、2頭の勢いには及ばなかった。
 これまで、ダート1400メートル戦で4勝、2着3回という実績を残しているスティールパス。「中央のダート1400メートルは、川崎コースの1600メートルが一番近い」と松田國英調教師が語るように、小回りの川崎コースを考慮し、この条件を狙っての参戦だった。数々の名馬を輩出してきた松田調教師は、過去に自身が手掛けたダートの活躍馬、クロフネやハギノハイグレイド、ゴールドティアラなどを引き合いに出し、スティールパスがその馬たちに匹敵する闘争心を持っていると評価した。「今日のレースを見て、大きいレースを使いにまた川崎に来たいです。ブロードアピール(2001年JBCスプリント2着)のリベンジも果たしたい」と、今回と同じ舞台で行われるJBCレディスクラシックへの意気込みも十分。ダート牝馬路線の新興勢力として未知の魅力を秘めており、今後の成長に期待がかかる。
 そして、伏兵馬に敗れたクラーベセクレタとミラクルレジェンドだが、両騎手からは悲観する言葉は一切出なかった。「力負けではありません」と戸崎圭太騎手はきっぱりと言い放ち、「川崎コースも問題ない、JBCは任せといてや!」と強気な岩田康誠騎手。JBCまでの臨戦過程も含め、このライバル対決からも目が離せない。
 グランダム・ジャパン古馬シーズンの初戦であるこのレース、昨年総合優勝を果たしたエーシンクールディの出走取消は残念ではあったが、この後のシリーズ参戦には期待したい。最終戦レディスプレリュードまで、そして、その先のJBCレディスクラシックに向けて、これからの牝馬たちの戦いに注目だ。
蛯名正義騎手
馬体重はプラス22キロでしたが、調教もかなり乗りこまれてきたし、それでも勝てたので状態が良かったということでしょう。小回りコースなので前々の位置でという指示でした。道中は行きたがる面もありましたが、思い通りの競馬ができました。1600メートル戦を勝てたのは良い経験になりますね。
松田國英調教師
普段の調教はかなりハードに行っているので、それでもプラス22キロということは状態が良く、まだまだ競馬が使えるというひとつの数字だと思います。作戦通りに蛯名騎手が道中うまくレースを進めてくれましたね。まだ奥がありそうな、これから大きいレースを獲れそうな期待を抱かせてくれるレースでした。


取材・文:秋田奈津子
写真:宮原政典(いちかんぽ)、NAR