断然人気馬がまさかの出遅れ
距離延長を味方にタイトル奪取

　グランダム・ジャパン（GDJ）古馬シーズン第4戦の兵庫サマークイーン賞は、猛暑の姫路競馬場で行われた。パドックやレースを見るファンの多くが、スタンドや通路などの日陰に避難するようにしての観戦だ。それでも“夏は牝馬”という格言があるように、金沢、笠松、名古屋、高知から計5頭の遠征馬を含め、このレースの出走馬には暑さにバテているような馬は見当たらなかった。
　“夏は芦毛”という格言もある。出走馬のうち芦毛はただ1頭、エーシンクールディだ。前走、GDJ古馬シーズン第2戦の読売レディス杯を完勝し、2年連続女王の座を目指す同馬にとって、この暑さをも味方につけるのかどうか、ファンの支持もやはり厚く単勝1.1倍の断然人気。そして前走牡馬相手の名港盃を制した名古屋のミヤジメーテルが8.5倍で、あとは10倍以上のオッズとなった。
　しかしスタートで波乱が起きた。「トモを滑らしてしまった」（岡部誠騎手）というエーシンクールディはダッシュがつかず、後方から。しかしそこは女王の貫録か、慌てず後方3番手を追走した。
　逃げ切りで2連勝中のベストランがハナを切る展開となり、ゴールドピアース、エーシンアガペー、ミヤジメーテルと続き、ロッソトウショウは中団から。
　断然人気馬が後方からになったこともあって、それほどペースは速くならず、そのエーシンクールディは向正面からスパートして前をとらえに行った。4コーナーでは2番手、そして直線では前のベストランをとらえて先頭に立とうかという瞬間、外からまとめて交わし去ったのが、金沢のロッソトウショウだった。内からもエーシンアガペーがしぶとく伸びて2馬身差の2着。エーシンクールディがアタマ差で3着という結果は、やはりスタートでダッシュがつかなかった影響は大きかったようだ。
　勝ったロッソトウショウは、前走読売レディス杯は地元にもかかわらずエーシンクールディに0秒6差をつけられての3着。それでもここで再び勝負を挑んだのは、「距離は長いほうがいい」（佐藤茂調教師）からだそうだ。
　現在、園田競馬場はこの秋から始まるナイター開催に向けての工事中のため、今回の兵庫サマークイーン賞は姫路競馬場が舞台となった。実はこのレース、第1回も姫路で行われているのだが、そのときは1500メートルだった。たしかにエーシンクールディの出遅れもあったが、ロッソトウショウ陣営にとっては、地元で1500メートルの読売レディス杯よりも、遠征のリスクがあっても1800メートルのここに期待していたようだ。
　「グランダムを狙ってのローテーションです」（佐藤調教師）というロッソトウショウの次走は、ビューチフル・ドリーマーカップ（水沢1900メートル）か、秋桜賞（名古屋1800メートル）のいずれかとなる。そして最終戦のレディスプレリュード（大井1800メートル）も含めて距離に不足はない。