3連勝でダートグレード制覇
母を超えるタイトルを目指す
レース前日に雨をもたらした雲は東に去ったが、それでも当日はどんよりとした天気。兵庫チャンピオンシップJpnⅡの出走馬がパドックを周回しているときの空模様は、3コーナーの向こうにある伊丹空港の上空あたりだけに青空があるという状況。しかしそのエリアも次第に小さくなり、本馬場入場時には小粒の雨が降ってきた。
その本馬場入場にはファンも注目。今年は「前走がJRAのGⅠで今回が初ダート」という馬が2頭いるのだ。ゼッケン1番は前走が皐月賞だったスノードン。ゼッケン12番は前走が桜花賞だったエイシンキンチェム。スノードンは馬場に入ってすぐ1コーナー方向に走り去ったが、エイシンキンチェムはファンの前をゆっくりと行進。鞍上の岩田康誠騎手は昨年のこのレースで初ダートのエーシンブランを逃げ切り勝ちに導いた実績がある。馬上の岩田騎手に向けて送られる声援には、昨年の再現に期待しているようなものも多かった。
岩田騎手自身にもその記憶があったのだろうか。昨年同様にゲートが開くと同時に先頭に立ち、1周目のスタンド前では見た目にも明らかなスローペースを作り出した。出遅れたスノードンがその流れを利して先頭集団に一気に加わって、3番手を進んだタイセイシュバリエは頭を左右に振って遅いペースに業を煮やしている様子。この時点でレースは瞬発力勝負になるであろうことが予感された。
2コーナーを回りきってからエイシンキンチェムがペースアップ。その流れにタイセイシュバリエとオースミイチバンの人気2頭がついていき、スノードンとプーラヴィーダも遅れず追走。3コーナー手前では地元で6勝を挙げているトライもそこに加わっていたが、さらなるペースアップにあえなく脱落。最終的にJRA5頭となった争いは、余裕たっぷりに抜け出したオースミイチバンの圧勝となった。続いてタイセイシュバリエが2着に入り、最後の直線で差を詰めてきたプーラヴィーダが3着。初ダートの2頭は4着と5着という結果だった。
オースミイチバン鞍上の川島信二騎手は「事前に園田の馬場をつかめていたのもよかったです」とコメントしていた。川島騎手は4月18日に園田競馬に来場したとき、交流戦のほかにも3鞍に騎乗しており、この日も2、3、5レースに騎乗していた。オースミイチバンにとっては、この重賞を勝つための川島騎手の周到な準備も力になったことだろう。
同馬の母であるオースミハルカは、川島騎手が騎乗してGⅠ・2着が2回。母が手にできなかったビッグタイトルにオースミイチバンは届くのだろうか。大きな期待をもって見守りたい。
川島信二騎手
スタートもスムーズでしたし、あとはもまれないようにとだけ思って乗っていました。2走前(3月24日の未勝利戦1着)から走りがガラッと変わって、反応もよくなってくれましたね。母にもぼくが乗っていましたから、本当に格別の勝利です。
荒川義之調教師
前走でも前につけられていましたし、小回りコースはそんなに心配していませんでした。川島騎手にはデビュー前から調教に乗ってもらっていましたし、2走前から走りが変わったというのは彼の言う通りです。今回も余裕がある走りで安心して見ていられましたね。次走についてはオーナーと相談して決めたいと思います。