楽な手ごたえで8馬身差
勢いとまらず重賞4連勝
セイクリムズンの勢いがとまらない。岩田康誠騎手とのコンビで、黒船賞JpnⅢを皮切りに東京スプリントJpnⅢ、かきつばた記念JpnⅢ、そしてこのさきたま杯JpnⅡで4連勝、通算重賞タイトルは7勝目とした。
遡って東京スプリントJpnⅢ後のこんな岩田騎手のコメントが印象に残っている。「(黒船賞JpnⅢは)しばらく勝っていなかったので馬自身が自信のない感じで走っていましたが、今は自信を取り戻せたので力を出し切れれば強いパフォーマンスはできると思っていました」と。
このさきたま杯JpnⅡもパドックに入場の際から貫録たっぷりに王者の風格を漂わせていたように思う。レースでもセイクリムズンの強さだけが印象に残ったと言ってもいいほどに強烈だった。
「調教をつけていて落ち着きもあっていい状態を保っているので、自ずとハナに立ちました」(岩田騎手)。セイクリムズンの他にもナイキマドリードやトーセンピングス、スターボードという南関東勢が先行するも、1コーナー手前ではセイクリムズンが先団の内目からリードしていく形になった。そのままセイクリムズンのペースは変わらず、3コーナー付近から楽な手応えで後続を離しにかかり、直線ではその差をどんどん広げていった。
「2番手につけていた馬が下がっていったら遊び遊び走っていました。自分に余裕がなくて追ったら8馬身もぶっち切って、必要以上に強かったです(笑)」(岩田騎手)とのことだったが、自分に余裕がなくてというのはあくまでも謙遜で、1頭になったら遊びながら走ったために今後に向けても最後まで気を抜かせずに走らせたということなのだろう。
2着には2年連続でNARグランプリ最優秀短距離馬に輝いているナイキマドリードが意地を見せ、3着は負傷以来久しぶりの古巣南関東での騎乗となった内田博幸騎手のトウショウカズンが入った。
さて、セイクリムズンはこのあと夏休みに入り、秋以降は東京盃JpnⅡからJBCスプリントJpnⅠ(川崎)というプランが立てられているという。ひじょうに興味深かったのは、距離の幅を広げていくという構想があることだ。過去にはフェブラリーステークスGⅠや芝のレースでマイルや1800メートルの距離に挑戦しているが、その時点では結果を出せずに終わっている。最終目標はフェブラリーステークスGⅠに置いているそうで、かかわる人たちがこの馬にさまざまな夢を託していることがインタビュー中にも伝わってきた。
ダート界のニュースターとして歩み始めたセイクリムズンと、日本ダービーをディープブリランテで制したばかりの岩田騎手のゴールデンコンビ。この勢いはしばらくとめられそうにない。
岩田康誠騎手
浦和の3~4コーナーは気をつけないと外に張ることがあるんですが、(初コースでも)スムーズに走ってくれました。これからいろんな距離に挑戦していきたいし、この馬の走りはまだまだこんなもんじゃないです。秋にはもっと素晴らしい状態で戻ってきて一緒に頑張りたいです。
服部利之調教師
いつも岩田君が調教に乗ってくれていて、最終追い切りも馬なりで抜群の動きだったので、これはいけると思っていました。今日の展開は差しが決まっていましたが、逃げてもさらにいい脚を使ってくれて、本当に強い内容でした。レベルアップしているし、ますます楽しみです。