馬の力を信じて理想のレース運び
着差以上の圧勝でさらなる高みへ
佐賀記念JpnIIIは川崎記念JpnIとフェブラリーステークスGIの2つのジーワンに挟まれる日程で、例年JRAのトップクラスの出走は多くはない。そのため、これまで重賞実績のあまりない馬にも出走の機会が回りやすく、ここ3年の勝ち馬は10年ラッシュストリート、11年メテオロロジスト、12年ピイラニハイウェイと、いずれも佐賀記念が重賞初制覇だった。
今年のJRA所属馬5頭はいずれも重賞勝ち馬ではあったが、なかでも人気を集めたのは、昨年夏にレパードステークスGIIIを勝利し、3走前にはジャパンカップダートGIで3着だったホッコータルマエに、ここ3走は地方でのダートグレードで好走し、前走の名古屋グランプリJpnIIで重賞初制覇のエーシンモアオバーの2頭。やはり今年も昇り調子の馬が佐賀記念をステップにさらに高みを目指していくストーリーが期待される一戦となった。
先行争いはエーシンモアオバーがすんなりと制し、ホッコータルマエがぴたりと直後の2番手につけ、人気の2頭がレースの主導権を握ることとなった。3番手にはキングスエンブレムやオースミイチバンがつけていたものの、向正面に入ると前の2頭が徐々に後続を引き離していき、早くも両馬のマッチレースの様相に。3コーナーでエーシンモアオバーに馬体を併せに行ったホッコータルマエが4コーナーで先頭に立つが、直線半ばまで両馬は併走。しかし勢いに勝るホッコータルマエが突き放しにかかると、その後は差が開く一方となった。
勝ったホッコータルマエの鞍上、幸英明騎手は「馬の力は抜けているので、負けられない気持ちで今日は来ました」と自信を持っての騎乗で、「エーシンが逃げると思ったので、その2番手ぐらいで競馬をしたかった」と事前に思い描いたとおりの理想の展開に持ち込み、2着とは3馬身差ながら、圧勝といえる内容で重賞2勝目へと導いた。
登録のあるフェブラリーステークスGI(2月17日、JRA東京)は除外対象だったが、この勝利で賞金を加算し出走可能となった。出走するかどうかは未定とのことだが、仮に回避したとしても、今回の圧勝劇を皮切りにダート戦線の主役へと躍り出る日はそう遠くなさそうだ。
今年度の佐賀競馬は、競馬場が佐賀市から鳥栖市へ移転してから40周年にあたる節目の年。それだけに地元馬の活躍が望まれていたものの、中島記念や九州オールカマーといったステップレースで活躍したレイズミーアップやエスワンプリンスは佐賀記念を相次いで回避。地元最先着はデュナメスの7着に終わり、09年から5年連続で佐賀所属馬が掲示板内を確保できないという残念な結果となった。
しかし、従来の地方競馬施設での全国的な発売に、今年は地方競馬IPATでの発売が加わり、売上面では4億4千万円超と佐賀記念の売得金レコードを更新。2年ぶりに祝日開催に戻った上、好天にも恵まれたため場内も多くの観客で賑わっており、厳しい経営が続く佐賀競馬にとって、光明が射した1日となったと言えそうだ。
幸英明騎手
スタートも早く、予定通りにエーシンの2番手につけられましたし、3コーナーで仕掛けたときも手ごたえは十分でした。(地方の)重い馬場がどうか心配な面もありましたが、今日のレースを見るとこういう馬場も得意なのかもしれませんね。
西浦勝一調教師
フェブラリーステークスに出走するかどうかはまだわかりません。距離も十分もつので、まだこれからいろんな可能性が見えてきました。1600メートルでも2000メートルでも、ひょっとしたらもっと長い距離でもいいかもわからないですね。