園田競馬場
「園田屋」　かす汁（400円）

　関西の冬は寒い。もちろん関東も寒いのだけれど、どちらも夏と冬の気温の差が年々大きくなっているように感じるのは気のせいだろうか。
　私が訪れた、とある冬の日の園田競馬場は、1コーナー方面からの風も強く吹いているから寒さが倍増。こんな日は多くの観客がガラス張りのスタンド2階にいるものだから、そこだけ人口密度がかなり高くて、往年の賑わいってこういう雰囲気だったのかなあ、という感じさえする。
　しかしながら、私は馬をナマで見ないと勝負をガッツリとできないタイプ。だからパドックに行って、どの馬にヤル気があるのかないのかを間近に見るのがルーチンワークなのである。でもとてつもなく寒い……。マークカードを塗る手が固まってしまわないうちに退散して、なにか温かいもので冷えた体を蘇らせよう。
　という状況で思いついたのが「園田屋」の「かす汁」。関西で「かす」と言うと、言葉遣いとしてはちょっとアレなのだけれど、この「かす」は心も体も温まるアイテム。店内に入ってイスに座り、注文からそれほど待たずにドンブリが登場してきた。

かす汁

「このお皿は骨入れに使ってね」
　ということは、今日の具にはそれが必要なものが入っているのかな。と、箸でなかみを探ってみると、鮭がゴロンと入っている。ほかにもいろいろな具が入っているから、軽く胃を満たすのにも最適だ。
　ところで、「かす汁」は冬しか提供しないと何年か前に聞いたんですが、今もそうなんですか？
「そうですね。4月になるとパタッと注文されなくなるんで、だいたい3月末までですね」
と、店先でおでんを煮ているお兄さん。なるほど、やっぱりこれは冬の風物詩ということなんですね。となると、今シーズンのかす汁は、あと1ヶ月弱。でも「その金ナイター」の季節が終われば、またこのメニューに出会えるはず。寒い時期に園田競馬場に来るときには、思い出したい逸品だ。