レースハイライト タイトル
dirt
2013年8月15日(木) 門別競馬場 2000m

ライバルを前に見て直線勝負
理想どおりの展開で突き放す

 地方中央の交流レースの草分けともいえるブリーダーズゴールドカップJpnⅡは、今年で四半世紀を迎えた。昨年の6頭立てに続いて、今年もやや寂しい8頭立て。中央枠は5頭あるが、繰り上がり期限後にエーシンモアオバーが回避したため出走は4頭。このレース3連覇がかかるシビルウォーが単勝2.0倍、帝王賞JpnI・4着からの参戦となったハタノヴァンクールが2.1倍で、この2頭に人気が集中した。
 まず注目されたのは展開。人気2頭はともに末脚勝負。そしてこの路線では常にペースメーカーをつとめてきたエーシンモアオバーの回避によって、逃げ馬不在。果たして、シビルウォーの内田博幸騎手が手綱をしごいて外枠からハナを奪おうかという気合を見せた。しかしさすがにテンにはそれほど行けず、ハナを切ったのは兵庫から北海道に転入初戦のエイシンナナツボシ。中央4頭の中では先行力もあるランフォルセが2番手で、シビルウォーは直後の3番手、これを前に見る位置を進んだのがハタノヴァンクールで、3番人気のグランドシチーはそのうしろという位置取りで隊列が決まった。3連勝中で地元期待のスーパーパワーは、今回も定位置の最後方から。
 3コーナー過ぎでエイシンナナツボシが後退すると、先頭に立ったランフォルセをシビルウォーがとらえにかかり、それを目標にハタノヴァンクールも動いた。
 直線を向いて一気にハタノヴァンクールが先頭に立つ勢いだったが、シビルウォーも譲らず、人気2頭の一騎打ち。同じ末脚勝負でも、長く脚を使うシビルウォーに対して、最後の瞬発力にまさるハタノヴァンクールがゴール前で突き放し、2馬身半差をつける完勝。ランフォルセが3馬身差で3着に入り、グランドシチーも迫ったがクビ差とらえきれず4着。地方最先着の5着はスーパーパワーだが、4着馬からは8馬身も差がついていた。
 人気2頭の勝敗の分れ目は、やはり展開にあったのではないだろうか。逃げ馬不在で最後の瞬発力勝負になれば不利と思ったであろう内田騎手は、スタートからある程度前に行ってみずから流れをつくった。そして、「早めにステッキを入れてランフォルセに並びかけて行ったけど、(ハタノヴァンクールに)持ったままで来られて、スッと行かれてしまった」(内田騎手)のは、やはりスタート後に脚を使った分だろう。
 対してハタノヴァンクールの四位洋文騎手は、「シビルウォーに後ろから来られる展開だと、まくりをかけられたときについて行けない可能性もあると思っていたので、シビルウォーを前に見ながらレースをしたいと思っていました」。そして直線勝負に持ち込むという、思い描いたとおりの展開になった。
 昆貢調教師に今後の予定を聞いたところ、少し意外な答えが返ってきた。「JBC(クラシック)に向かいますが、その前にどこか使えるところがあるかどうか…。今年の最終目標は、去年2着に負けた東京大賞典のリベンジです」と。中央のダート中長距離路線の有力馬が秋に目標とするのは、まずほとんどがジャパンカップダートGIだろう。しかしハタノヴァンクールは、昨年秋以降、中央では結果を残せていない。なるほどこの馬が力を発揮するのは、地方の大舞台だと陣営も考えているようだ。
四位洋文騎手
帝王賞のあとは涼しい函館で調教して、だんだん元気になってきていました。今日は返し馬の感じもよかったですし、頭数も少なかったので、思うようなレースができました。久々に勝たせてもらったので、秋は大きいところでもこれくらいのパフォーマンスを見せられるようにがんばってもらいたいと思います。
昆貢調教師
今日は見ていて3コーナー過ぎくらいで勝ったなとは思いました。ただ最近は消化不良のレースばかりで、馬にもっと勝つことを教えないとダメだと思っていたので、今回は気合の入り方も違いました。このメンバーで負けていてはGIどころではないので、今回は負けられないつもりで仕上げました。


取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(川村章子、中地広大)