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オーバルスプリント~日本テレビ盃(第64回)

オーバルスプリントJpnⅢ

 セイントメモリーはダッシュ力があります。外からエーブダッチマンが無理やりという感じでハナに行きましたが、セントメモリーにとっては、むしろこれが行ってくれたことで目標ができてよかったのではないでしょうか。実質はセイントメモリーが逃げているのと同じで、うまく平均ペースでレースを運びました。3コーナーでタイセイレジェンドに並びかけられましたが、さすがに斤量の5キロ差は大きいです。手ごたえはまだまだ楽でした。ここでペースアップして、タイセイレジェンド以外の中央有力馬との差を広げて、勝負あったという感じでした。これで重賞3連勝です。充実ぶりが目立ちます。
 タイセイレジェンドは59キロですからこの2着は仕方ないでしょう。他馬との斤量差が大きかったですから、この後の東京盃やJBCスプリントが楽しみです。
 ジョーメテオは直線伸びて3着に食い込みました。サンタアニタトロフィー、スパーキングサマーカップでも惜しい2着でしたが、これから活躍が期待できるのではないでしょうか。
 1番人気になったガンジスは、もう少しいい勝負をするかと思いましたが案外でした。
 ナイキマドリードも得意のコースでセイントメモリーの直後4番手あたりを追走して、いい勝負になるかと見ていましたが、向正面で反応がなくなってしまいました。

日本テレビ盃JpnⅡ

 ワンダーアキュートは跳びが大きいので内に包まれるとよくありません。帝王賞では逃げましたが、今回は外枠だったのでソリタリーキングを行かせて追走する形になりました。行く気になれば前に行けたと思いますが、この馬には、それがかえってよかったのではないでしょうか。ゲートでは飛び上がるような感じで、スタートはあまりよくありませんでしたが、武豊騎手はすぐに手綱を緩めてふわっと行かせています。で、向正面あたりから抑えて行ってという、このあたりが武騎手のうまいところです。
 ソリタリーキングはハナに立ってマイペース、ワンダーアキュートと一騎打ちに持ち込みました。最後はクビ差でしたが力があるところは見せました。3着のランフォルセには6馬身差です。2頭は力が抜けていました。
 地元勢ではトーセンアドミラルがもう少し勝負になるかと思いましたが、3コーナー過ぎではすでに追いどおしで一杯でした。その他の地方馬ではこのメンバーに入るとちょっと厳しい感じで、南関東でもダートグレードで通用する馬がなかなか出てこないのは残念です。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。