レースハイライト タイトル
dirt
2013年9月23日(祝・月) 船橋競馬場 1800m

手ごたえ十分に一騎打ちを制す
JBC連覇へ向け秋初戦を好発進

 Road to JBCの第1弾・日本テレビ盃JpnⅡには、JBCクラシックJpnⅠ連覇が期待されるワンダーアキュートが出走してきた。川崎で行われた昨年のJBC以来勝ち星がないとはいえ、その後はGⅠ/JpnⅠのみに出走して3着以内を外していない。そしてこのレース連覇を狙うのがソリタリーキング。やはりしばらく勝ち星から遠ざかったとはいえ、前走マーキュリーカップJpnⅢ快勝で調子を上げてきている。単勝1.3倍で断然人気はワンダーアキュートだが、ソリタリーキングとの馬連複が1.5倍で、2頭に人気が集中。勝負は、2頭の一騎打ちとなった。
 積極的にハナを取りにいく馬がなく、1周目のゴール手前で押し出されるようにソリタリーキングが先頭に立った。ワンダーアキュートがこれをマークするようにぴたりと追走。2番手の内には高知のブレーヴキャンターがいたが、これが向正面で徐々に後退すると、早くも中央4頭に船橋のトーセンアドミラルを加えた5頭の勝負に絞られた。
 3~4コーナー。ソリタリーキング鞍上の福永祐一騎手の手がわずかに動き始め、ほとんど持ったままで武豊騎手のワンダーアキュートが外から並びかけた。3番手で併走していたトーセンアドミラル、ランフォルセとの差がじわじわと広がると、ここからは人気2頭の一騎打ち。
 直線では、内にソリタリーキング、外にワンダーアキュート。馬体をぴたりと併せての追い比べは、ゴール50メートルほど手前でワンダーアキュートがぐいと前に出たところで決着がついた。着差はクビ。3着のランフォルセには6馬身の差がつき、4着がダイショウジェットで中央4頭が上位を独占。トライアルのスパーキングサマーカップを勝ってここに臨んだトーセンアドミラルは5着だった。
 勝ったワンダーアキュートは、帝王賞JpnⅠ(3着)以来の休み明けで臨み、馬体重502キロは、前走からマイナス12キロ。しかしそれもさほど心配される要因ではなかった。同じく休み明けだった昨年のJBCクラシックJpnⅠでも栗東から南関東への輸送で、前走比マイナス21キロの501キロという状態で圧勝していたからだ。「体重の変動幅が大きくて事前には読みづらいんですけど、競馬を使っていけば安定してくるでしょう」と佐藤正雄調教師。このあとは、マイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠにも登録するが、状態次第で出走するかしないか。目標は当然、JBCクラシックJpnⅠ連覇となる。
 金沢競馬場で初めての開催となるJBCは今年で13回目。JBCクラシックJpnⅠの勝ち馬は、第1回のレギュラーメンバー以外、2連覇もしくは3連覇を果たしている。今年そのチャンスがあるのはワンダーアキュートのみ。そして前走・帝王賞JpnⅠから手綱を取っている武騎手は、過去12回の歴史でJBCクラシックJpnⅠを6勝。ワンダーアキュートは、最有力候補の1番手として名乗りを上げた。
武豊騎手
スタートが良ければ先手をとってもと思っていたんですが、ソリタリーキングが行ったので、それを見ながら絶好のポジションがとれて、いい形になりました。直線ではなかなか離せなかったですけど、手ごたえは余裕がありました。大目標のJBCには、いい状態で挑めると思います。
佐藤正雄調教師
勝ち切れないレースが続いていましたが、GⅠともなると強者揃いで、ちょっとしたことで着差も変わってしまうので…。これでいい形で秋初戦を飾れたので、あと本番(JBC)ではユタカくんの力を借りていいレースをしてくれれば。新しい勢力も出てきているので、なんとか順調に本番に臨みたいと思います。


取材・文:斎藤修
写真:国分智(いちかんぽ)、NAR