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スパーキングレディーカップ~マーキュリーカップ(第62回)

スパーキングレディーカップJpnⅢ

 サマリーズがハナを切って、メーデイアが2番手で、すぐに流れが落ち着きました。ナターレは外枠でしたから、3番手の外につけて無理には行きませんでした。最内枠のサクラサクラサクラも、サマリーズが行く気を見せたので、すぐに控えました。
 勝ったメーデイアは、2番手についていって、ゴール前は楽に突き放していますから、着差以上の強さです。501キロと馬格もあって、おしりのあたりの筋肉などは牡馬のようです。ダートで牝馬同士ならしばらく負けないのではないでしょうか。
 サマリーズは、全日本2歳優駿を勝ったあとは芝を使ったりで結果が出せませんでした。今回は内枠もあって、最初から行くつもりだったのでしょう。最後までよく粘りました。牝馬同士のダートなら、これからも楽しめるのではないでしょうか。
 2番人気のレッドウラウディアは5番手あたりを追走して、向正面で早めに仕掛けて行きました。ただ前も楽をしていますから、まくりきれませんでした。ゴール前ではサマリーズとの差は詰めているのですが、届きませんでした。この馬はもう少し距離が長いほうがいいのかもしれません。
 地方勢では、マニエリスムが4着、ハルサンサンが5着でした。ともに道中は中団よりうしろからの競馬で、無理せず追走した結果でしょう。
 クラーベセクレタはずっと追いどおしで、直線では余力がありませんでした。以前の力を望むのは難しいのかもしれません。

ジャパンダートダービーJpnⅠ

 地方馬が先行してハナを争って、中央勢は4番手以下の好位からという展開になりました。これでは前に行った地方馬にとっては厳しいです。3番手追走のソルテなどは終いに使えるいい脚を持っているので、もう少し控えたほうがよかったかもしれません。3~4コーナーでは先頭をうかがって見せ場をつくりましたが、さすがに直線では余力がありませんでした。
 勝ったクリソライトは、絶好位4番手の内を追走しました。直線で追い出されると、他馬とは違う脚色で突き放しました。秋になって、帝王賞で上位を争った古馬との対戦が楽しみです。
 エーシンゴールドは、クリソライトには離されましたが、川田騎手は馬群の中でじっと我慢して、うまく乗りました。ケイアイレオーネとの叩き合いを制しての2着は、3~4コーナーでも内から2頭目あたりを通ったぶんでしょう。
 惜しくも3着だったケイアイレオーネは、今回は出負けして後方からでした。3~4コーナーでは1頭だけ目立つ脚色で一気に上がって行きました。仕掛けが少し早かったかもしれませんが、出遅れもあって後方からですから、仕方ないと思います。その3~4コーナーでは大外の4、5頭ぶん外を回っていますから、距離的にもかなりロスがありました。それでいてエーシンゴールドと叩き合っての3着は価値があります。これを経験して、次はさらに力をつけてくるかもしれません。
 インサイドザパークは、中央の有力勢のうしろを追走して、最後は今回もいい脚を使って4着まで来ました。今回も自身の時計では走っています。南関東のこの世代では、頭ひとつ抜け出したかもしれません。

マーキュリーカップJpnⅢ

 ソリタリーキングは、昨年の日本テレビ盃以来、久々の勝ち星となりましたが、強い競馬を見せました。この力強さが戻ってくれば、今年も日本テレビ盃に出てくるようであれば、期待できそうです。
 シビルウォーは3コーナー手前から追いどおしで、ようやく最後、2着争いを制しました。内田騎手であればこそという2着でした。
 グランドシチーは、最後伸びそうで伸び切れず、3着でした。直線では前にソリタリーキングがいて、すぐ外にはランフォルセがいて、少し窮屈になるところがあったので、そのぶんかもしれません。
 エーシンモアオバーは大外枠でしたが、この馬が行くことは全員がわかっていますから、すんなり先頭がとれました。ただ、差なく他の中央勢についてこられたのは、この馬にとっては厳しい展開になりました。それでも最後はよく粘っての4着でした。
 トーセンルーチェは、1~2コーナーで中央の有力勢にからんでいきました。外枠だったので仕方ないのですが、かなり外を回ることになってしまいました。前半から行かずに、持ち味である終いの脚を生かす競馬のほうがよかったかもしれません。

佐々木竹見(ささきたけみ)
元川崎競馬所属騎手。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
引退後も2012年3月までNAR地方競馬全国協会参与として後進の指導にあたる等、地方競馬の発展に大きな役割を果たし続けている。