レースハイライト タイトル
dirt
2013年8月13日(火) 佐賀競馬場 1400m

佐賀を知り尽くす鞍上の好判断
早めに捲って押し切り重賞初制覇

 北部九州はこのところ猛暑日が続き、この日も好天となって最高気温は35度を超えた。しかし時折心地よい風が吹いており、厳しい暑さながらも比較的過ごしやすい一日となった。
 今回、JRA所属馬4頭の中で、古馬重賞の優勝実績があるのは11年のオーバルスプリント(浦和)を制した10歳のダイショウジェットのみで、サマーチャンピオンJpnⅢには今回が3度目の出走。しかし単勝1番人気には、重賞は未勝利ながら2着2回というガンジスが推され、昨年の全日本2歳優駿JpnⅠを勝利したサマリーズや、プロキオンステークスGⅢ・11着からの巻き返しを狙うエーシンウェズンが続いて上位人気を形成。世代交代が期待される一戦ともなった。
 スタートでは地元佐賀のギオンゴールドが先頭をうかがったものの、サマリーズがこれを交わしてハナに立った。しかし、すぐに2番手につけたガンジスら7頭がひとかたまりとなって、サマリーズにとっては楽な流れとはならなかった。
 一方、スタートでやや出遅れ好位集団の後方からの追走となったエーシンウェズンが2コーナーから動いてまくり上げ、向正面では先頭に迫る勢い。ここまで2番手を追走していたガンジスも前のサマリーズを交わしにかかったが、外からまくって行ったエーシンウェズンに内に入られて行き場を失い、一旦位置取りを下げることになった。それでも3コーナーで盛り返していき、先頭に立ったエーシンウェズンに再び迫って優勝争いはこの2頭に絞られた。しかし、直線でもその差はなかなか詰まらず、重賞初制覇を目指す両馬の争いは、1馬身差でエーシンウェズンの勝利となった。
 エーシンウェズン鞍上の川田将雅騎手は、父が地元佐賀の川田孝好調教師で、生まれ故郷ともいえる場所。サマーチャンピオンJpnⅢには5年連続6度目の出場となり、今回の2コーナーで早めに動いてそのまま押し切るレース運びは佐賀コースの特性を意識したもの。「今日は川田君の好騎乗に尽きますね。佐賀競馬場を知り尽くしているジョッキーなんで、今日は何パターンか想定だけして、あとは任せました」(野中賢二調教師)という陣営の期待に見事に応え、11年のスーニ以来となるこのレース2勝目となった。
 一方、2着に敗れたガンジスは、地方コースは初出走。向正面で不利を受ける場面があり、それがなければと悔やまれる一戦とはなった。しかしその後盛り返しての2着は、素質の高さや地方の馬場への適性を見せるものだった。
 そして地方勢は出走7頭すべてが52キロのハンデで、JRA勢とは差のある評価だったが、高知のコスモワッチミー、地元佐賀のメトロノースが直線猛追して3、4着を確保。JRA勢の一角を崩す好走を見せた。コスモワッチミーはこれでダートグレード出走5回のうち4回で掲示板内を確保。これからもダートの交流重賞戦線では軽視できない存在となりそうだ。
川田将雅騎手
向正面で他の馬に迷惑をかけてしまって申し訳ないところはありましたが、この馬自身は頑張ってくました。出遅れる形になったので、じわっと行かせてから、2コーナーで馬が行く気になったのでまくって行きました。佐賀の直線は200メートルぐらいですし、押し切れるだろうなと思って動きました。
野中賢二調教師
もともとゲートはそんなに速くない馬なので出遅れは覚悟していましたが、思ったより早めに位置取りを回復できたので、脚を使わずにすみました。暑かったので結構汗をかいたりして心配だったんですが、休み明けを1回叩いて悪い状態ではありませんでしたので、前向きにはなっていました。


取材・文:上妻輝行
写真:桂伸也(いちかんぽ)