JBCレディスクラシック〜浦和記念(第42回)

JBCレディスクラシック

 エーシンクールディにブラボーデイジーが競りかけてペースが速くなりました。それゆえのレコード決着ですが、それにしても1分49秒6は速い時計です。前が飛ばしてくれたので、有力2頭にとってはレースがやりやすかったでしょう。特にラヴェリータにとってはハイペースで掛かる心配もなく4番手の絶好位、ミラクルレジェンドはそれを前に見る位置を追走しました。直線を向いて、最後の追い比べは、ミラクルレジェンドの岩田騎手は意識してラヴェリータから馬体を離したのかもしれません。ミラクルレジェンドはここに来て相当力をつけているようです。ジャパンカップダートに出るなら、トランセンドを相手にどれくらいやれるかですね。
 ラヴェリータもよく走っていますが、前走のレディスプレリュードに続いてミラクルレジェンド差し切られる結果になりました。ただそれにしても2頭の力は思った以上に抜けています。
 カラフルデイズも3番手あたりを追走して、前の2頭には離されましたが、よく3着に粘りました。3歳ですから、まだまだこれから先が楽しみです。
 前で競り合った2頭は、ブラボーデイジーが8着、エーシンクールディが9着でしたが、どちらも単騎で楽に行けるような展開になればもっと粘っていたと思います。


JBCスプリント JpnT

 スーニは、一昨年このレースを勝ったときよりも一段と強くなった感じです。スタートは互角に出ましたが、中団よりうしろに控えました。東京盃では内から来ましたが、今回は外からぐんぐん伸びてきました。道中の位置取りがややうしろでしたから、直線は外を通ってきました。よくあの位置から差し切ったと思います。川田騎手は好騎乗だったと思います。
 セイクリムズンとダッシャーゴーゴーも、ゴール前で伸びてきて接戦になりましたが、今回はスーニの末脚には及びませんでした。
 ラブミーチャンは直線を向いても先頭で、今度こそ勝ったかと思いましたが、残念ながら粘りきれませんでした。ただ東京盃に続いて中央馬を相手に差のないレースをしていて、よく走っていると思います。
 サマーウインドは好位につけて、いい手ごたえで4コーナーを回ってきましたが、最後に伸びを欠きました。やはり休み明けのぶんがあったかもしれません。


JBCクラシック JpnT

 スマートファルコンは外枠でも迷わずハナを切りました。対して、競り合うことなく2番手に控えたトランセンドは、スマートファルコンを先に行かせるのは最初から決めていたのでしょう。スマートファルコンのスピード能力は、誰もが認めるところです。シビルウォーが3番手につけて、4番手以下はだいぶ離れてしまい、向正面あたりからすでに3頭の競馬になってしまいました。
 スマートファルコンの武豊騎手は、最初は手綱をがっちり押さえていましたが、3コーナーあたりからは手綱がブラブラしています。ここで息を入れて、直線でハミをかけて追い出すつもりだったのでしょう。直線を向いて突き放したので、そのまま圧勝かと思いましたが、最後はやや一杯になった感じがありました。4コーナーから追い通しだったトランセンドに、最後は一気に差を詰められました。もう一度対戦したらトランセンドに勝たれるかもしれません。


北海道2歳優駿 JpnV

 オーブルチェフは、逃げたダブルスターの2番手で、4コーナーまでずっと抑えたままでした。行かせれば楽に逃げ切ってしまったと思いますが、先々を考えればこういうふうに抑える競馬を教えるのはいいですね。全日本2歳優駿に来れば、この馬に勝たれるのではないでしょうか。今の時点ではかなり力が抜けています。
 2着のベルモントスターは、オーブルチェフをマークする位置を進んでいましたが、まったく歯が立ちませんでした。


兵庫ジュニアグランプリ JpnU

 ゴーイングパワーは、スタート後はフリスコベイに並びかける位置で、かなり行きたがっています。ハナに行かせていたら、もっと楽に勝っていたかもしれません。もし全日本2歳優駿に来るようであれば、思い切って行かせてしまってもおもしろいかもしれません。距離は1600メートルくらいまでなら問題ないのではないでしょうか。
 エーシンユリシーズも早めにいい位置につけて、最後はよく追い込んできました。兵庫所属として今後の活躍が楽しみです。
 人気のシェアースマイルも3番手あたりのいい位置につけました。勝ち馬よりも道中はむしろ折り合いはついているんですが、最後は意外に伸びませんでした。


浦和記念 JpnU

 テレビでパドックを見ていましたが、ボランタスは馬体がかなりよくなっていました。3コーナーあたりであの位置ではとても勝てるとは思いませんでしたが、思い切って後ろから行って、よく終いの脚を生かしました。前で競り合った中央の4頭も、どれかが突き抜けるということもなかったですから、そうした運もあったと思います。
 シビルウォーは早めに先団にとりついて、おそらく相手はボレアスだと思ってマークしたのでしょう。最後にはボレアスはとらえましたが、道中はずっと気合をつけながらだったので、ブリーダーズゴールドカップや白山大賞典のように、突き抜けるというまでにはいきませんでした。JBCクラシックで目いっぱいのレースをしてきた影響もあったかもしれません。
 残念だったのは5着のクリールパッションですね。4コーナーでも絶好の手応えでしたが、前にエーシンモアオバーとボレアスがいて、外からはシビルウォーが来て、直線ではおそらく外に出したかったと思いますが、3頭に囲まれてまったく出せるところがありませんでした。ゴール前でも前の2頭がどちらもバテるでもなく粘っていたので、間を割って出ることもできませんでした。抜けるスペースがあれば、この馬に勝たれていたかもしれません。小回りの浦和コースは馬群がバラけることがないですから、内をぴったり回っていると、こういうこともあります。


佐々木竹見(ささきたけみ)
NAR地方競馬全国協会参与。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
 現在は地方競馬教養センターなどで後進の指導にあたる。