兵庫ゴールドトロフィー〜川崎記念(第44回)

兵庫ゴールドトロフィー JpnV

 スーニは、59.5キロのハンデもあって後方からになりました。川田騎手は、前のペースが速くなることはわかっていたでしょうし、東京盃で差し切った経験があるように、終いの脚を使えることもわかっているので、慌てることなくじっくり乗っていました。スーニも強かったですが、川田騎手は今年も乗れていますね。
 オオエライジンは、ゲートを出て少しもたもたしていました。それでも早めに3番手の好位につけて、向正面で仕掛けると3コーナーでは先頭に並びかけていきました。タイミング的には少し早かったかもしれません。うしろのセイクリムズンが来るまで、少し待ってもよかったと思います。それでも3着に残るわけですから力はあります。ここで強い馬とレースをしたことで、さらに力をつけてくると思います。これからが楽しみです。



東京大賞典 GT

 スマートファルコンは今回もハナに行きましたが、ワンダーアキュート、テスタマッタもそれほど置かれずに追走しました。武豊騎手は、スタート後の直線では手綱を押さえていましたが、1コーナーあたりから手綱を緩めています。これまでであれば2コーナーを回ってから緩めるところですが、馬が掛からないように早めに放したのでしょう。それだけペースが速かったということです。向正面ではまた手綱を押さえる場面もありましたが、3コーナーあたりでまた手綱を放して、4コーナーからハミを掛けていきました。そうやって折り合いをつけるところは、武豊騎手のうまいところです。直線で追い出して、突き放すかと思いましたが、前走までのように後続を離すことができませんでした。それでも最後はよく粘りました。最後のハナ差は、ゴールのところで馬が頭を下げたぶんでしょう。今回も外枠に入りましたが、枠入りが後になるし、ダッシュ力もあるので、この馬は外枠に入ったほうが思い通りのレースができると思います。
 ワンダーアキュートはスタートからムチを入れて行って、おそらくスマートファルコンを負かしにいったのでしょう。厳しいペースでしたが、よくついていきました。結果的に惜しくもハナ差で2着でしたが、スマートファルコンを負かすにはこういう展開しかないというレースをしたと思います。今回速いペースで追走していくことを経験したので、次はさらによくなるかもしれません。
 それにしても、今回も中央の6頭が上位を独占しましたが、このタイムで走られては、地方馬はついていけません。



TCK女王盃 JpnV

 ペースはそれほど速くなかったようで、有力馬はどの馬も手ごたえがありました。ハルサンサンは、中央3頭のすぐうしろのいい位置につけました。直線を向いて外に持ち出してよく伸びてきました。コースの取り方がよかったと思います。最後は届かないかと思いましたが、内の馬群とは少し離れて追い込んだのがよかったのかもしれません。
 カラフルデイズは好スタートをきりましたが、そのぶん、向正面で掛かっていました。そういうときは一気に行かせてしまうような場合もありますが、この場合はあの位置で我慢するしかなかったと思います。
 プレシャスジェムズはスタートでトモを落としたようで、出遅れたのは残念でした。それでもハナに立って3着に粘りましたが、出遅れずにすんなり先頭に行ければもう少しチャンスはあったかもしれません。
 パールシャドウは、最後はハルサンサンと同じような勢いで伸びてきましたが、先行した中央の3頭がゴール前で壁になって、追うことができなくなってしまいました。直線を向いたところで一度外に出そうとしたようですが、ハルサンサンに先に外に出されて進路がなくなり、あのまま内に行くしかありませんでした。最後、脚を余していただけに、次回は狙い目かもしれません。
 ショウリダバンザイは、終いにいい脚を使う馬ですが、道中はずっと外々を回っていました。馬群の内に入れていって、向正面で徐々に外に持ち出すようにしたほうがよかったかもしれません。向正面で早めに行きましたが、馬が行きたがっていたぶん、最後は伸びませんでした。この馬は折り合いに苦労するようです。



川崎記念 JpnT

 スマートファルコンのスタートが抜群でした。やはり逃げてこその馬です。武豊騎手に乗り替わって、連勝するようになってからはずっと迷わず逃げていますが、2番手や3番手からだと、この馬は掛かってしまって折り合いが難しいです。マイペースで逃げてしまえば、この馬にかなう馬はいません。武騎手もそれがわかっているのでしょう。ドバイでも、ハナに行ければいい勝負になると思いますが、ドバイに出てくるような馬は速い馬もいますから、逃げられるかどうか、ですね。
 フリオーソも行く気で仕掛けていきましたが、今回はスマートファルコンのスタートがよすぎたので、控えるしかありませんでした。最後は離されて3着でしたが、今回は休み明けですからしかたないでしょう。それでも明けて8歳で、これだけ走っているんですから、たいへんな馬です。



佐々木竹見(ささきたけみ)
NAR地方競馬全国協会参与。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
 現在は地方競馬教養センターなどで後進の指導にあたる。