帝王賞〜マーキュリーカップ(第38回)

帝王賞 JpnT

 スマートファルコンは、今回もハナに行きましたが、このペースで行かれてしまっては、ついていける馬はいません。直線を向いてからのスピードも他馬とはまったく違いました。ハイペースで飛ばして、最後に36秒0で上がられては、他の馬はどうにもなりません。今、ちょっとこの馬にかなう馬はいないかもしれませんね。武豊騎手もこの馬の乗り方を完璧にわかっているようで、無理に抑えたりすることがなく、この馬の能力をうまく引き出していると思います。
 エスポーワールシチーは、3番手追走から3コーナーでスマートファルコンを追いかけて負かしに行きましたが、並びかけるまではいかず、直線では離されてしまいました。最後はバーディバーディに差を詰められましたが、前のスマートファルコンにはすでに届かないし、バーディバーディの脚色を計りながら、最後は無理には追わなかったのでしょう。まだ本調子にはないようです。アメリカ遠征があったので、そこから立て直すのも容易ではないと思います。
 バーディバーディも良いレースはしていますが、さすがにこの2頭が相手だと力が足りませんでした。


スパーキングレディーカップ JpnV

 ラヴェリータは、やはり外枠のほうがいいようです。スタートダッシュはそれほどでもなかったですが、1周目のゴール板あたりから一気に行ってハナに立ちました。58キロと斤量を背負っていたので、行ってしまおうと考えていたのかもしれません。この斤量では最後の瞬発力勝負になったときに、どうしても不利になります。直線では楽に差を広げて6馬身。さすがにかしわ記念で逃げて2着に粘っただけの力はあります。牝馬同士では力が違いました。
 トーホウドルチェは、スタートダッシュは速かったですが、ラヴェリータにハナを譲る形になりました。以前、マリーンカップでラヴェリータを負かしたことがありましたが、現状で力の差はかなりあるようです。
 アイアムアクトレスは、3コーナー手前までは差のない3番手につけていましたが、前の2頭からは徐々に離されてしまいました。勝ちタイムの1分39秒0がかなりいい時計ですから、古馬と3歳馬の力差は思った以上にあったのかもしれません。


ジャパンダートダービー JpnT

 グレープブランデーはダッシュ力もあって、スタート後はハナに行くかのような勢いでしたが、4番手に控えました。楽な手ごたえで先頭に立って、最後はボレアスに差を詰められましたが、横山騎手の話では、まだ余裕があったようですね。並びかけられても最後まで抜かせなかったのは、着差以上の強さだったかもしれません。
 ボレアスは、直線で狭いところを割ってきました。差し切るような勢いでしたが、勝ち馬も終いの脚が残っていました。
 クラーベセクレタは、グレープブランデーをマークする位置を追走しました。3着は残念でしたが、中央の牡馬を相手によく走っていると思います。スタート後のゴール板あたりでは、砂をかぶって嫌がるような走りをしていました。こういう競馬を経験すれば、まだまだ強くなると思います。
 タガノロックオンも最後はよく差を詰めて、惜しいところまで追い込みました。この馬もこれからが楽しみです。
 岩手のベストマイヒーローは、差のない3番手を追走しました。これならいいところまでいくかと思いましたが、3コーナー過ぎから下がってしまいました。

※クラーべセクレタ号は、禁止薬物(カフェイン)陽性のため、7月23日付けで失格となっています。


マーキュリーカップ JpnV

 ゴルトブリッツは、スタート後は2番手につけて、3コーナーあたりでは3番手に下げましたが、かなり余裕がありました。終いの脚が他馬とは違っていて、格の違いを見せつけるレースぶりでした。
 メイショウタメトモは、マイペースで逃げましたが差をつけられての2着。このあたり、勝ち馬とは力の差がありました。
 パワーストラグルは、3コーナー手前で先頭のメイショウタメトモに並びかけていきました。ペースが遅いこともあったでしょうが、ちょっと仕掛けが早かったかもしれません。


佐々木竹見(ささきたけみ)
NAR地方競馬全国協会参与。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。
 現在は地方競馬教養センターなどで後進の指導にあたる。