オーバルスプリント〜レディスプレリュード(第40回)
オーバルスプリント
スタート後は5頭ほどが前で競り合いになりました。先行勢はずっと追いどおしで、さすがにこれではバテてしまいます。浦和の小回りコースでは、直線が短いと思ってみんな行きたがりますから、こういう展開になることがよくあります。勝ったダイショウジェットは外枠からのスタートで、前が競り合ってぽっかりと空いた内にすぐに入れて、楽に追走することができました。4コーナーでは先行勢が一杯になるところ、この馬だけ抜群の手ごたえでした。大型馬でスタートダッシュがあまりよくないところで、今回は外枠に入ったのもよかったと思います。展開が向いたとはいえ、それにしても5馬身差ですから、強いレースをしました。
前で競り合った中では、トーホウドルチェが2着に粘りました。牝馬ですがさすがにそれだけの力があるということでしょう。
ディアーウィッシュは、期待された前走(スパーキングサマーカップ)で結果が残せませんでしたが(1番人気で8着)、今回は勝ち馬と同じような位置からじっくりレースを進めたことで3着まで来ました。
1番人気になったナイキマドリードですが、今回は57キロもありましたが、先行したトーホウ2頭の外から競りかけていって、ずっと追いどおしでしたから厳しいレースになりました。4コーナーあたりではすでに手ごたえが一杯になってしまいました。
日本テレビ盃 JpnU
スマートファルコンはゲートを出てからも速いし、ハナに行くと強いレースをします。今回も外枠からすんなりとハナに立ちました。力の違いがあるので、追いかけてくる馬はいません。フリオーソが除外になりましたから、このメンバーでは相手になる馬がいませんでした。JBCクラシックが楽しみです。今回は、さすがにスマートファルコンに競りかけて行く馬はなく、興味は2着争いのレースになりました。そんな中で、カキツバタロイヤルとピイラニハイウェイを先に行かせて、4番手を追走したフリソがいいレースをしました。終い、しっかりした脚を使えるのも、この馬のいいところです。
2番人気のカキツバタロイヤルは、スマートファルコンを追いかけ過ぎたかもしれません。3コーナーあたりまで差のないところを追走しています。それでも最後はバテずに3着に粘りました。内のピイラニハイウェイを先に行かせて、そのうしろの3番手あたりからじっくり構えて行けば、十分に2着は狙えたと思います。大事に使っていけば、今後さらに重賞のタイトルが期待できそうです。
東京盃 JpnU
スーニは控えて中団からのレースでした。3コーナーあたりで外に出すか、内に入れるかという場面があって、内に入れたのはいい判断でした。直線ではうまく内をさばいて抜けてきました。大井の外回りコースは、以前なら中央のジョッキーは4コーナーで外を回してくることがほとんどでしたが、うまく内を回ってきたと思います。今回は川田騎手の好騎乗でした。ラブミーチャンにとっては、逃げきったかと思うようなレースでした。スタート後は内枠のブリーズフレイバーにハナを譲りましたが、仮に2番か3番あたりの枠順に入ってマイペースでハナを切っていれば、勝てるチャンスがあったかもしれません。
ジーエスライカーは今回も抜群のスタートを切りました。ただ坂井英光騎手は、内を見てブリーズフレイバーとラブミーチャンが行くと見ると、譲って先に行かせました。さすがにこのあたりは外枠でしたら、仕方のないところです。最後までバテることなく、それほど差のない5着に粘っているので、今後もこの路線で期待できそうです。
マルカベンチャーはゴール前での伸びが目立っていました。
セイクリムズンも外から伸びてはいるんですが、最後はラブミーチャンと脚色が一緒になってしまいました。スーニが内をうまく回ってきたのとは対照的に、前の3頭が直線入口まで並走していたので、終始外々を回らされた影響もあったかもしれません。
レディスプレリュード
ミラクルレジェンドは、先に仕掛けたラヴェリータに3〜4コーナーで一旦は離されましたが、それを目標にレースができたのがよかったと思います。残り200メートルあたりでの末脚が他馬とは違っていて、並ぶ間もなく交わしました。この馬は追ってからいい脚を使います。終いの3ハロンを36秒2で上がられては、他の馬はかないません。1分50秒8という勝ちタイムも相当に優秀です。1番人気のラヴェリータは2着に負けてしまいましたが、今回は内めの枠に入ったのがよくなかったかもしれません。この馬は外枠で砂を被らずスムーズに行ければ、強いレースをします。それでも向正面では外に出せたので、よかったと思います。向正面から早めに行きましたが、仕掛けるタイミングをもう少し待ってもよかったかもしれません。直線での勝ち馬との伸び脚の違いは、57キロを背負っていたこともあったかもしれません。
エーシンクールディは、スタートダッシュがいいですね。直線半ばまで先頭で、強い2頭を相手によく粘ったと思います。さすがに中央ではオープンで走っていただけのことはあります。大事に使っていけば、いずれダートグレードでもチャンスがあるのではないでしょうか。
クラーベセクレタは、初めての古馬との対戦でしたから、それでも2番手についていって、5着はよく走っていると思います。今までは揉まれる競馬をあまりしていませんから、今回、厳しいレースを経験したことで、次回以降はさらによくなってくると思います。
佐々木竹見(ささきたけみ)
NAR地方競馬全国協会参与。地方競馬通算7,151勝という世界歴代6位(当時)の勝ち鞍を挙げ、2001年7月8日に騎手を引退。現在は地方競馬教養センターなどで後進の指導にあたる。