ライバル除外で圧巻の一人旅
来春のドバイヘ順調な始動
午前中、飛び込んできた驚きのニュースは、フリオーソ競走除外というものだった。
昨年のこのレースではフリオーソが圧倒的な強さでトランセンド、スマートファルコンをまとめて負かしていたが、しかしその後のJBCクラシックJpnT、東京大賞典JpnTでは、スマートファルコンがフリオーソに圧倒的な差をつけて形勢逆転。スマートファルコンは前走、フリオーソが回避した帝王賞JpnTでも、エスポワールシチーを9馬身差ちぎって圧巻のレース。今回の焦点はスマートファルコンとフリオーソの直接対決で、メンバー的にも注目はほとんどその1点だったものが、フリオーソの除外でスマートファルコンの完全1強となってしまった。
レースはそうした実力の差を見せつけるものとなった。外枠からすんなりとハナを奪ったスマートファルコンに競りかけていく馬はなく、マイペースの一人旅。3コーナー手前で2番手のカキツバタロイヤルが2馬身ほどに差を詰めたが、3コーナーを回るとスマートファルコンは馬なりのまま再び差を広げはじめた。フリオーソの除外によって馬券的な興味は2、3着争いとなったが、その2着争いをしり目に、直線で軽く気合を入れられただけで、後続を寄せ付けず楽々と逃げ切った。2着のフリソには4馬身差。しかしスマートファルコンは流すような感じでのゴールだっただけに、その着差にはあまり意味がない。むしろゴールの瞬間にスタンド前のファンから起きた拍手が、圧倒的な強さを象徴していた。
地方勢では、前走サンタアニタトロフィーを完勝という内容で連覇を果たしたカキツバタロイヤルが2番人気と期待された。3コーナーあたりから追い通しで直線でも2番手だったが、直線でフリソに交わされ1馬身半差の3着。とはいえ、もう1頭の中央馬ピイラニハイウェイには先着した。さすがにスマートファルコンには手も足も出なかったが、中央勢の一角は崩しただけに、中央オープン特別クラスの力があることは示した。
さて、勝ったスマートファルコンだが、重賞16勝は、JRA所属馬の重賞勝利数としては歴代でもダントツの記録。そして通算20勝という勝ち星も合わせ「想像を絶する記録」と小崎憲調教師みずからが驚きの表情を見せた。
スマートファルコンの次走は、武豊騎手が「次、大井でもがんばります」とインタビューでも答えていたように、連覇のかかるJBCクラシックJpnT。その結果次第でジャパンカップダートGTへと向かうようだ。
そして最大の目標は、すでに帝王賞JpnTのレース後から語られていたとおり、ドバイワールドカップとなる。今年は出走がかなわなかっただけに、今度はそこまでにあと2戦のみとゆったりとしたローテーションでの挑戦となるようだ。
武豊騎手
今日はフリオーソが回避したことによって、ほんとに勝たなきゃいけないなと思いました。あまりうしろは気にしなかったんですけど、3コーナーからは待つことなく自分から行ってくれました。去年のこのレースから乗せてもらって、この1年間この馬にはお世話になりっぱなしで、ほんとに強い馬です。
小崎憲調教師
今回は、先を考えてちょっと余裕を持った仕上げで臨みました。JBCまで1カ月ちょっとあるので、JBC(クラシック)を使う方向で調整していきます。最終的にはドバイに行くために、馬にいちばん負担がかからない、かつ、選ばれるようなローテーションの予定でいます。
取材・文:斎藤修
写真:いちかんぽ(川村章子、国分智)
写真:いちかんぽ(川村章子、国分智)