第36回(最終回) 2011年9月9日(金) 冷やしむぎ(荒尾競馬場)

荒尾競馬場
ダービー 冷やしむぎ(500円)

フリーアナウンサー 浅野靖典

 「地方競馬の情報発信基地」の枕詞で始まる地方競馬の情報番組「クリック!地方競馬」。月替わりでキャスターを務めさせていただいているのが、前回のこのコーナー登場の秋田奈津子さんと、私、浅野靖典である。というわけで秋田キャスターからバトンが回ってまいりました。しかしこのコーナーの題名は『地元記者オススメの逸品』。秋田さんは南関東が地盤といえるからまだいいけれど、私の場合は本格的な根無し草…。それでも全国の競馬場にそれぞれ5回以上も訪問しているのだから自信を持とう。でも、逆に何を紹介したらいいのか困っちゃうなあ。

 そうだ、前から謎に感じていたメニューにしよう。場所は熊本県の荒尾競馬場。2階の食堂街にある「大石食堂」がその現場だ。カウンターの上に掛けられているメニュー板に書かれている文字が、
積年の謎になっているのである。その文字とは「冷しむぎ」…意味わからん。ビールの原料になるアレですよね。かつてザ・ドリフターズが「誰かさんと誰かさんが……」と唄った、あの麦を冷やしてどないすんねん!ちなみに正しい日本語表記にすると「冷やしむぎ」。果たしてそれは何なのだろうか。
 その疑問を絶対に解決してやるぞと午後2時の大石食堂に突撃したら、「すみません。冷やしむぎ、終わっちゃったんですよ。代わりにおうどんどうですか?」そういう問題じゃないんだってば。冷やしむぎが食いたかったんだよお。と、がっくりしていると、偶然居合わせた旧知の地元競馬ファンが声をかけてくれた。「冷やし麦がほかの店にないか、探してみましょうよ」その言葉の主に素直についていき、1階の食堂街にある「ダービー」で冷やしむぎがあるとの回答をゲット!お店のメニューには書かれていないんだけど、まあいいか。さあ、果たして冷やし麦とは何者なのでありましょうか?


 そして出てきた逸品は、むむむ?見た目はそうめんなんですけど……。「そうめんとは違いますよ。でもこれも冷やしむぎとは違うかもしれないですね。本当の冷やしむぎは食べると穀物感がありますし、それにもう少し太いかな。麺が平べったい場合もありますね」と、ここに誘導してくれた地元ファン。えー? 何がなんだかさっぱりわからない。細うどんやそうめん、そして冷や麦と何が違うのか。そして正しい「冷やしむぎ」とは、いったいどんなものなのか!?でもとりあえず氷水に浸かった逸品は、のぼせ上がった頭と体の温度を下げるのには最適。しかしながら「冷やしむぎ」本体については、そうめんよりちょっと太いかも、という感想が残っただけという結果であった。うーむ、いまひとつ納得がいかぬ。次こそメニューに書かれている「冷やしむぎ」を食べてやる!

 と、バトンを渡されたその勢いのまま書いたところで、編集担当者様から「全国的にネタが尽きて困っているみたいなので、あとは全部よろしくでいいですか?」とお達しが。うーむ、それは難題かも。でもせっかくだからがんばるか。全国各地の競馬場にある逸品や珍品を、来月から紹介していきますよ!


【編集部よりお知らせ】
 各地の競馬記者やライターを数珠つなぎに、リレーコラムとしてお届けしてきた当連載ですが、今回をもちまして一旦お休みとさせていただきます。来月以降は、浅野靖典氏による全国の地方競馬にまつわる「ウマいもの」を紹介する新連載がスタートしますので、ご期待ください!(掲載日は原則として毎月10日です)

※ 本文で紹介している逸品については、取材時点のものです。 その後、値段改定やメニューが変わっている場合もございます。