台風一過の前日とは一変し、曇り空。しかも、底冷えする寒さとなったが、全国各地から約7000人の競馬ファンが観戦に訪れた。東京から来られた方は「ヒートテックを着込んできたのにこんなに寒いとは、盛岡をなめてました」。山形から来られた方も「夕方に震えが……」。などという声が、かなり聞こえてきた。
マイルチャンピオンシップ南部杯JpnⅠ・三度目の正直となるか、目下GⅠ/JpnⅠで8戦連続連対中のゴールドドリームが単勝1.3倍で1番人気に支持された。540キロの迫力ある馬体で、前走プロキオンステークスGⅢまで3連勝中のアルクトスが3.6倍の2番人気で、当日パドック解説に来られていた安藤勝己さんが、いちばん良く見えて自身が乗るならこの馬と絶賛。3番人気のロンドンタウンが16.1倍で、オッズからは一騎打ちムード。
南部杯のファンファーレが鳴り響くと、盛岡競馬場は、大歓声と今年いちばんの熱気に包まれた。
外からロンドンタウン、ノボバカラが先行。そのラップは、12.3-10.9-11.0-11.5-11.9-12.1-11.6-12.9で、前半3ハロン34秒2、上がり3ハロン36秒6の平均ペースとなった。淡々と流れ、4コーナーでは先行2頭にサンライズノヴァ、モジアナフレイバー、アルクトス、ゴールドドリームが加わって6頭がほぼ一団。馬場の真ん中を通った馬体重534キロの栗毛サンライズノヴァが豪快に脚を伸ばして抜け出し、ユニコーンステークスGⅢ、武蔵野ステークスGⅢに続いて重賞3勝目となった。
吉原寛人騎手は、「先生(音無秀孝調教師)からは2回に1回は出遅れるのでスタートには気をつけてと言われました。作戦としてはJRA勢の後ろにはつけたかった。今日の馬場は外々を回る馬が末脚は伸びていたので、レースでは早め中団につけることができて理想的でした。初騎乗でしたが、しっかりした馬体で、乗り味もすごく良かったです」
1馬身半差で2着アルクトスの田邊裕信騎手は、「初めてのジーワンだったけど状態は良かったですし、2着は予想とは違う着順(1着)だったけど正攻法で攻めました。勝ち馬(サンライズノヴァ)が思っていたポジションと違った」
さらに1馬身半差で3着ゴールドドリームのクリストフ・ルメール騎手は、「スタートは良かったですが、内めが深かったみたいで前にいる馬たちが外々へ、そこで位置取りが悪くなった。直線も進路を探さないといけない感じでした。伸びてはいましたが、休み明けでいつもの反応ではなかった。6歳ですが、叩いてパワーが戻ってくると思うので、次走はいい結果につながるでしょう」
また地元生え抜き3歳馬パンプキンズ(13着)の伊藤和忍調教師は、「メンバーも違うけど、いつもとペースが違いますね。この経験は今後にいきてくると思いますし、これからも積極的に強い相手にもまれて力をつけていきたいです」
サンライズノヴァを管理する音無調教師は、「次走は武蔵野ステークスGⅢを予定していましたが、勝ったことで白紙ですね。斤量など、これから使うレースに困る。1600メートルがベストと思っているし、芝スタートもあまり良くないので、1400メートルよりは今後は1800メートルを使ってもいいかなと思ってます」と語っていた。
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吉原寛人 騎手
ジーワンを勝つことが夢だった。ゴールではうれしくてガッツポーズが出てしまった。4コーナーを回ってすごい手応えが良かったし、この馬の脚は以前から見ていたので、たとえ早めに動いても大丈夫だと思っていた。直線半ばでゴールドドリームが後ろから来なかったので、そこで勝利を確信しました。
音無秀孝 調教師
人気もなく、ゴールドドリームが強いと思っていましたし、気楽にレースを見ていた。いつもゲートが悪くジョッキーにはゲートさえ出れば好きに乗っていいと言いました。今日みたいに出ればどうにでもなる。調子は良くなっていたけど、勝ったのはビックリ。それでも、良い頃に比べるとまだかな……。