サマーチャンピオンJpnⅢはハンデ戦の上、JRAからの出走馬は直近1年の収得賞金が重視される選定方法ということもあり、重賞路線の常連馬より準オープン(3勝クラス)特別やオープン特別を勝った馬が集まる傾向がある。今年はそれがより顕著となり、出走馬5頭はいずれも重賞未勝利で、うち4頭は今回がダートグレード初挑戦。オープン特別2勝の実績からトップハンデ56キロとなったナンチンノンは重賞を4戦していずれも二桁着順で近走も不振とあって、前走で準オープン(3勝クラス)特別を勝って今回がオープン昇級初戦のスマートレイチェルとヒザクリゲの2頭が単勝1、2番人気に推されていた。
この日の佐賀競馬場は台風10号の接近で開催への影響が懸念されていた。午前中は晴天だったが、午後に入ると断続的に強い風雨に見舞われて馬場状態は途中から稍重に。しかし、サマーチャンピオンJpnⅢの発走前には雨は上がり、その後も最終レースまで無事に開催することができた。
スマートレイチェルが最内枠から先頭をうかがうと、ナンチンノンが2番手まで押し上げてくるもハナを奪おうというところまではいかず、隊列はすんなりと決まり、スタート直後に早くもJRA勢5頭が先行集団を形成。
向正面で先行5頭の中では最後方にいたグランドボヌールが外から進出し、4コーナーで先頭に立つと、直線で一旦は抜け出した。しかし、3番手から伸びてきたヒザクリゲがその差を一気に縮めていき、馬体が合ったところがゴール板。結局、グランドボヌールがハナ差凌ぎ切っての勝利となった。
2頭の優勝争いからは4馬身離れた3着にシャインヴィットゥ。4着にスマートレイチェルと、ここまでJRA勢だが、5着には佐賀のハクユウスターダムが食い込み、JRA勢の掲示板独占を阻止。佐賀勢としては2013年メトロノース(4着)以来の掲示板内確保となった。
グランドボヌールはこれまで芝路線を進み、4走前に準オープン特別を勝つと、ここ2戦はCBC賞GⅢ・6着、中京記念GⅢ・5着と健闘。ダートグレード初挑戦とはいえ、JRA勢5頭の中では重賞での実績は最上位だった。ダートは3歳1月に2戦していずれも大敗。それ以来の出走だったが、管理する鈴木孝志調教師は「ダートは前々からどこかで試したかったので全然心配していなかった」とのこと。JRAでは全5勝中、左回りの中京と東京で計4勝しており、むしろ今回はダートよりも右回りが心配だったそう。「1200では忙しく、1600では最後止まってしまうので、1400メートルにこだわっていきたい」とのことで、次走はテレ玉杯オーバルスプリントJpnⅢ(9月12日、浦和)を予定。出走が叶えば、左回り・1400メートルのベストの条件で、真価を発揮することになりそうだ。
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和田竜二 騎手
あまり控えるとちょっと嫌気がさすかなと思い、早めに行きました、内が重い馬場なので、揉まれない位置で真ん中ぐらいを通れたのがよかったです。ダートは向く血統で、1400メートルがいい馬なので、この距離の重賞なら芝でもダートでも行けそうです。
鈴木孝志 調教師
ハナにこだわる必要はないから、外めの枠が当たったのはちょうどよかった。雨が降って軽い馬場になったのも向きました。右回りでコーナリングが心配でしたが、1~2コーナーで外に跳ねていたので、やはり左回りの方がパフォーマンスが上がるかなと思います。