最高気温30度、晴、良馬場で実施されたこの日の金沢競馬は、第1レースから各騎手がインコースを大きく空けるレースが続いていた。
「先週、砂を補充してから、さらに内が使えなくなりました。ここなら大丈夫だろうと馬場の真ん中を通って先頭に立ったら、外ラチ沿いの馬に差し切られましたし」と、畑中信司騎手は苦笑い。柴田勇真騎手は「コースロスを少なくしようと考えて乗るよりも、思い切り外を回るほうがいいのかもしれません」と、馬場の傾向を掴みかねている様子だった。
はたしてその馬場に、金沢所属以外の騎手はすぐに対応できるものなのか。笠松のキタノイットウセイが出走取消で9頭立てになった今年の白山大賞典JpnⅢは、このレース連覇を狙うグリムが2.1倍で単勝1番人気。デルマルーヴルが2.8倍の2番人気で、5番人気までがJRAからの遠征馬。6番人気は佐賀のグレイトパールだったが、112.1倍だった。
出走馬のなかで、近走で逃げていたのはリアンヴェリテだけ。ゲートが開くとそのリアンヴェリテが先手を取ったが、直後にノーヴァレンダが陣取った。それは逃げ馬にとって厳しいかたち。そのプレッシャーを振り払うかのように、リアンヴェリテの福永祐一騎手は、馬場の中央付近を通る作戦に出た。その距離ロスは相当なもので、3番手を進んだグリムもその影響を受けていた。
それでもノーヴァレンダはリアンヴェリテを右斜め前に見る位置をキープ。その展開では、リアンヴェリテが2周目3コーナーあたりで失速したのは仕方ないところだろう。代わってノーヴァレンダが先頭に立つと、グリムも続き、その後ろからは、大外を回ってデルマルーヴル、インコースを通ってテルペリオンが上昇してきた。
残り200メートル地点では4頭が横に広がり、そのなかからグリムが先頭に。そしてそのまま押し切った。デルマルーヴルは猛然と差を詰めてきたが、クビ差だけ届かず。これで3戦連続での2着となった。
「デルマルーヴルがくるのは分かっていたので、その前に動いていきました」と、グリムの濱中俊騎手はホッとしたという表情。デルマルーヴルの吉原寛人騎手は「1コーナーで前の馬がかなり外を回ったのが厳しかったです。でもグリムはしぶといですね」と話した。
先行したノーヴァレンダは3/4馬身差で3着。そして5着には、地元から唯一の出走となったティモシーブルーが食い込んだ。「JRAのペースにはなかなかついていけないですが、この内容なら北國王冠や中日杯が楽しみになります」と、畑中騎手は笑顔を見せた。
佐賀のグレイトパールは、そこからアタマ差での6着。川田孝好調教師は「状態は帝王賞のときよりも上という感じでしたが、ジョッキー(鮫島克也騎手)は道中の反応がいまひとつだったと言っていました」と振り返った。グレイトパールはこのあと、九州大賞典、中島記念、そして佐賀記念JpnⅢに進む予定とのこと。実力馬が復活するのか、楽しみだ。
Comment
濱中俊 騎手
外枠だったので、前に行く馬を見ながら進められればと考えていましたが、そのとおりのレースができました。デルマルーヴルとは4キロの斤量差がありましたが、並ばれそうになるとしぶといですね。最後までよくしのいでくれました。まだ体にゆるいところがありますし、これからも強くなっていくと思います。
野中賢二 調教師
昨年と馬場の様子がかなり違うので、レース前に騎手としっかり打ち合わせして臨みました。でも道中はかなり外を回らされましたね(苦笑)。それでも地方の馬場では安定していますし、3番手を取った時点でいい勝負になると思いました。次は出走メンバーによっては、JBCを考えてもいいのかなと思います。