高知競馬場では1900メートルの古馬重賞が、春の二十四万石賞、秋の珊瑚冠賞と2つある。今年の二十四万石賞は最低人気のエイシンファイヤーが追い込みを決めて勝利。3連単は263万円を超える配当になった。
今年の珊瑚冠賞には、その二十四万石賞で掲示板内の5頭を含む6頭が出走。そのうちイッツガナハプンは昨年の珊瑚冠賞を優勝し、エイシンファイヤーは2着と、高知の1900メートルで実績を残している。
しかし単勝1.6倍の1番人気に支持されたのは、JRAから高知に移って4連勝中のケイマ。ただ、過去の出走歴が1600メートルまでという点は不安材料といえた。ウォーターマーズは建依別賞でケイマの3着に敗れたが、JRA時に挙げた3勝がすべて1800メートル以上という点を評価されたようで、2.9倍の2番人気でレースを迎えた。
この日の高知県は台風17号の影響を受けて、午前中が雨。午後に入ると曇り空に変わったが、17時の時報と同時に大粒の雨が降ってきた。それでもその雨は降ったり止んだりの繰り返し。珊瑚冠賞のパドックでは小康状態、本馬場入場時は大雨、レースのときは弱い雨と変化したが、3コーナー方面から1コーナーに向けて吹く風は強烈だった。
そのなかで先手を主張したのはケイマ。ウォーターマーズが1周目のホームストレッチでは4馬身ほど離れた2番手につけた。その流れはスローに映ったが、2周目に入ったところでケイマの永森大智騎手はペースを上げた。
向正面ではその差が7馬身ほどにもなったが、3コーナー手前からウォーターマーズが追い上げて、その後方から3番人気のファドーグも差を詰めにかかった。それでもケイマの独走は続いたが、最後の直線入口では2番手との差が2馬身ほどになっていた。
しかしケイマの逃げ脚は衰えなかった。ウォーターマーズは4コーナーでインコースを通ったが、1馬身差までが精一杯。ファドーグは残り200メートルあたりで脱落して3着になった。
絶妙のペース配分を披露した永森騎手は「後ろから来られる前に、先に先にという気持ちでいきました」と、会心の勝利に嬉しそう。2着に敗れたウォーターマーズの西川敏弘騎手は「途中でついていけなくなる場面があったんですよ。最後も気を抜いていたし、真面目に走っているのかどうか……。でもケイマは速かった」と話した。
4馬身差で3着のファドーグも「3コーナーでの手応えだったらもう少しやれてもいいんですが、両側から馬に来られたところで気の悪さを出していましたし」と倉兼育康騎手。ファドーグはパドックで暴れるシーンを見せていたが、そのあたりも影響したのかもしれない。
春の二十四万石賞を制したエイシンファイヤーは10着。2着だったキャプテンオリオンは4着で、3着だったイッツガナハプンは5着。大波乱の二十四万石賞とは対照的に、珊瑚冠賞はすべての賭式が3桁配当という結果になった。
ケイマは1900メートル戦を勝ったものの、本質的にはスピードタイプ。別府真司調教師は「オーナーとの相談にはなりますが」と前置きしながらも、JBCスプリントJpnⅠに挑戦したい意向を示した。珊瑚冠賞からは中5週。高知からの参戦が叶うのかどうか、注目だ。
Comment
永森大智 騎手
返し馬の雰囲気も前走より上と思えるくらいによかったですし、ここまで仕上げてくれたスタッフのみなさんに感謝です。1900メートルはやっぱりちょっと長いんですが、前半を自分のペースで進められたこともあって、最後まで地力でしのいでくれました。まだまだ強くなる馬だと思います。
別府真司 調教師
距離経験はありませんでしたが、これまでの走りぶりから考えて大丈夫だろうと思っていました。決め手があるウォーターマーズが強敵でしたが、永森騎手が後続の脚を使わせる騎乗を見せてくれましたね。この馬は月に1走程度ということにしていますので、行くことになれば次走はJBCスプリントです。