7月から1カ月半続いた夏の盛岡開催もこの日が最終日。みちのくの夏は短く、『なつぞら』とはいかず曇り空。盛岡競馬場から普段くっきり見える岩手山も霞んでいた。クラスターカップJpnⅢの当日は、2019ヤングジョッキーズシリーズ・トライアルラウンド盛岡も行われ、お盆の里帰りも重なり、場内は6,944名の入場で大盛況。
フェブラリーステークスで藤田菜七子騎手のジーワン初騎乗が話題となったコパノキッキングは、その後東京スプリント2着があり、今回が3度目のコンビ。単勝1.8倍の1番人気に支持された。北海道スプリントカップJpnⅢを制したヤマニンアンプリメが2.8倍で2番人気。東京スプリントJpnⅢ・3着でスピードを武器にする4歳馬ヒロシゲゴールドは武豊騎手に鞍上が戻って4.1倍の3番人気と三つ巴の様相。
好スタートを切ったコパノキッキングが予想外の先行策。藤田騎手は「出遅れたら腹をくくっていこうと思っていましたが、もし今回ゲートの出が良かったら前へ行こうとは考えていました。ちゃんと出て、いい位置を取れて道中の手ごたえも良く、逃げ馬をマーク。4コーナーの手ごたえなら伸びると思いましたが、直線で外からこられてちょっと狭くなったときは、伸び脚はなかったです。この馬には先行がいいのか、差しがいいのか微妙なところ」と語っていた。逃げたヒロシゲゴールドを捕まえることはできず、ヤマニンアンプリメにも交わされて3着だった。
気合をつけてハナに行ったヒロシゲゴールドの武豊騎手は「スタートは良かったし、僕の思っていたレースができた。うしろからこられて息は入らなかったけど、大井のときより状態は良かった」と2着に粘った。
そのラップは、12.3-10.6-11.3-11.6-11.3-12.0で、前半3ハロン34秒2、後半3ハロン34秒9の平均ペース。
レースを制したヤマニンアンプリメの岩田康誠騎手は「北海道スプリントカップは前へ行ったけど、今回はいつものこの馬の競馬でした。前にいる馬の動きを見ながら中団から……」というとおり、勝負どころの4コーナー手前から楽な手ごたえで外々を回って射程圏へ。直線は坂を力強く駆け上がって一気に突き抜け重賞連勝。昨年のオウケンビリーヴと同じ5歳牝馬による優勝となった。
今年開業の長谷川浩大調教師は「騎手時代も盛岡競馬場には来たことがなく、坂のあるコースなのでこなせるか少し気になっていました。1200メートルに重点をおいてローテーションを組んで、今回は有力な牡馬相手に好勝負できたことは良かったです。元々トモが甘かったですが、今は充実しています。次は未定ですが、馬の状態を見て。秋の目標は浦和のJBCスプリントとなりますし、1400メートルなので調教を積んで距離ももつように調整していきたいです」と語っていた。
Comment
岩田康誠 騎手
長距離輸送で少しイレ込んでいて、ゲートも不安だったんですけど、うまく展開もハマってくれたと思います。一戦一戦力をつけて、馬体もよくなっていますし、走り方でもパワーをつけている印象です。菜七子ちゃんが勝つ予定だったんですけど、じゃましてしまってすいませんでした(笑)。
長谷川浩大 調教師
牧場で乗り込んで1カ月前に函館競馬場へ。前日に盛岡入り、北海道に比べて暑かったので、カイバが上がって馬体は減っていましたが、斤量が53キロで、期待以上のパフォーマンスができました。